活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2015.09/02 ぱくりデザイン

東京オリンピックのエンブレムが、使用中止になったという。本件については、早い段階からそのオリジナリティーが疑われていただけでなく、審査員が佐野氏に近い人物で固められていたことなどが、ネットで指摘されていた。また、審査過程にも疑惑が指摘されるなど国をあげての行事のエンブレム審査としていくつか問題があった。しかし、どこに不正があったかは明確にされず、「このままでは国民が納得しない」という理由で佐野氏が辞退したことで関係者は幕引きをしようとしている。
 
今回の問題ではサントリーの景品で佐野氏デザインの一部にぱくりデザインがあったことから佐野氏デザインのエンブレムに対する疑いについて国民の80%以上が疑惑を持つ事態になった。他人の著作物を勝手に使用する佐野氏の仕事ぶりはこれに留まらず、エンブレムの応募に使用されたエンブレム展開案の写真がやはり盗用であったことを佐野氏が認めるに至った。
 
模倣から創造を行う手法は、技術でも芸術でも新しいものを生み出す一手法である。例えば第三者のAという技術を応用してABという技術を発明した時に、新規性と進歩性があればABは発明として認められ、特許を出願すると成立する。これはぱくりではなく技術開発の一手法として認められており、その結果新しい技術が容易に生み出される土壌ができて技術が発展してきた。ゆえにABではAを「ぱくって」はいるが、新規のBが評価され、ぱくり技術とは言われない。
 
技術の場合には線引きは明確であるが、これが芸術分野の著作物になると難しい。サントリーの景品では本人もぱくりデザインであることを認めたのでパクリであったことが確定した。しかしエンブレムについては、本人はパクリであったことを認めていないだけでなく、その創作過程を明らかにして無実を証明しようとした。ただしこれは審査過程の別の問題を露呈している。
 
結局エンブレムがぱくりデザインであったかどうかは、本人が認めていないのでグレーになっているが、先に公開されているデザインに似ている事実だけは残った。そしてこの事実については著作権の侵害として提訴された。これらの状況からでてくる、デザイナーではない素人が見てもオリジナリティーが感じられないものを東京オリンピックのエンブレムになぜ審査員は選んだのか、という疑問は、残った。
 
芸術分野の著作物について、オリジナリティーを素人が見極めるのは難しいという理由で専門家の審査員が選ばれているわけであるが、その審査員が佐野氏に近い人ばかりであっただけでなく、明らかに似ているものを似ていないという能力の審査員を選んだ責任は少なくともとるべきだろう。ぱくりデザインであったかどうか、というよりも審査員も含め今回の審査が公明正大であったかどうかというのが一番大きな問題のように思われる。
 
余談だが、弊社では著作権フリーが保証された素材から新たなデザインを創出する技術を開発し、特許出願を行った。すなわち著作権の問題が発生しないデザイン手法を技術としてまとめたわけだが、ご興味のある方はお問い合わせください。
 
ぱくりデザインではなく安心できるオリジナルデザインを弊社は提供します。また、創造をどのように効率的に行うかの指導も行っていますのでご相談ください。

カテゴリー : 一般

pagetop