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2017.04/20 科学的方法の問題(1)

技術開発を科学的方法で、とは企業の研究開発の現場で20世紀に声高に叫ばれたスローガンだ。そのような時代にゴム会社に入社したが、ゴム会社のタイヤ開発部隊の風土はKKD中心であり、さらに新入社員研修における発表会で当方は科学的方法の優位性を口にしたとたんにある役員から厳しく指導された。

 

ところが研究所に配属されたらそこは同じゴム会社とは思えない、大学の研究室のような風土だった。このような状況だったので研究開発業務の科学的方法と技術的方法について大いに悩むことになった。

 

配属後最初の指導社員は、どこか仙人のような雰囲気のある方で科学的方法と技術的方法に悟りを開いている、というよりも一つの会社における風土の全く異なる状況にあきらめているようなところがあった。

 

新しい防振ゴム配合開発の指導を受けたが、研究所内のプレゼンテーションの資料は当時のバネとダッシュポットによる先端の粘弾性論一色にもかかわらず、指導内容はこのような方法は忘れてもよいという姿勢だった。

 

実際に常微分方程式が解けなくてもかまわないし、マックスウェル方程式など理解しなくても良い、と言いながら詳しく説明されていたので、忘れても良いようなことに疑問を持ち、なぜそのように指導されるのか不思議に思った。

 

ただ、指導内容とスペクトロメーターを常時用いるゴム配合の検討方法とがうまく整合性がとれていたにもかかわらず、ゴムの配合処方を組み立てる部分は、とにかく市販のゴムを全部揃えたので、この全ての組み合わせを検討するようにと言う指示で科学的スマートさに欠けていた。

カテゴリー : 一般

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