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2017.04/21 科学的方法の問題(2)

市販のゴムと樹脂の全ての組み合わせ配合について粘弾性特性を計測すると1年近くかかりそうな仕事量であることはすぐに理解できた。さらに粘弾性装置にはミニコンが接続されてデータ収集こそ自動化されていたが、最初の測定条件設定などは現在のような便利なソフトは存在せず、すべて手作業で行わなければならなかった。

 

ただ、この不便さは計測機の仕組みを理解するのに役立ったと同時に、ゴムの粘弾性の特徴を体得するのに役だった。また、合成化学を学生時代に専攻していたのでこのような計測業務には新鮮さがあった。

 

業務を担当し厳しい技術伝承を兼ねた訓練後、指示された全ての温度領域で計測しなくてもある特定の周波数と温度でサンプルを計測する手順で、目標となっていたゴム配合を見つけ出すことができると気がついた。

 

指導社員にそのことを説明したら、それは最初から分かっていたが、練習用に全ての条件で計測するという指示を出していた、と言われた。そのような理由ならば、ということで、当方が見つけた条件で実験しても良いか、と尋ねたら、当方の提案でよいが物性に特徴あるサンプルについては完全なデータを揃えて欲しい、と言われた。

 

特徴的なサンプルの粘弾性について1組完全なデータをそろえるのは報告書のためだった。実は指導社員はゴールとなるべきサンプルと耐久試験結果まで行ったデータセットをすでに手元に持っていた。しかし、そのサンプルの存在は指導社員と当方だけが知っている秘密だった。

 

さらにそのサンプルは、科学的ではなく指導社員のKKDにより見出された配合である。すでに完成した配合が存在するのに、なぜ当方が一年かけて多数のゴムと樹脂の組み合わせ実験を行わなければいけなかったのか?(明日に続く)

 

 

カテゴリー : 一般

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