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2017.05/24 テクノロジー的思考は仕事の仕方を変える

科学の方法で技術開発を進めると効率が悪い、と思っている。分析や解析は科学的プロセスで行わなければならないが、モノを創りだすプロセスは科学の方法ではなく、人類がはるか昔から行ってきた技術の方法が効率を上げるだけでなく仕事の仕方を変える。

 

技術者が開発を進めるときに20世紀には仮説を立てそれを確認するために実験を行え、とよく言われた。ゴム会社の研究所でも写真会社でも同様のことを言われたので多くの日本企業で科学の方法が推奨されていたのだろうと思っている。

 

しかし、仮説を確認するための実験で仮説を支持しない結果となったらどうするか。そのまま否定証明に走る問題をこの欄で紹介している。電気粘性流体の増粘問題や酸化スズゾルを用いた帯電防止層の開発では否定証明により、技術として選択されるべき手段が科学的に否定された。

 

仮に科学的に否定されたとしても技術としてある機能を実現しなければならないのなら、何とかしなければいけないのがメーカーの技術者の役割である。「水」を「金」にするような技術は、明らかに不可能だが、科学で未解明の現象であれば、そこから機能を取り出せるかもしれない。また、科学で未解明だからこそ宝物の機能が眠っているかもしれない。

 

技術の方法では、科学で解明されている現象であればそこから科学の真理に基づく機能を取り出して使えばよく、仮に科学で未解明の現象でもそこに人類に有益な機能が潜んでいるならば、試行錯誤をしてでも取り出さなければいけない。

 

科学で未解明の現象であれば、そこに潜んでいる機能を取り出すためにすべての条件について試行錯誤で実験を行えばそれが可能となる。タグチメソッドではこの合理化した方法を提供してくれる。

 

タグチメソッドの詳細は省略するが、その実験方法は科学の方法と異なる(注)。また実験は計画的に行われるので、仮説立案→実験→考察という細かい繰り返しが無くなり残業時間の管理が可能となる。また、科学の考察という、仕事をやっているのかやっていないのかわからないような業務も無くなる。

 

(注)タグチメソッドは実験計画法ではない、と故田口玄一先生はよく言われた。またこれが技術的方法であることも力説された。しかし、科学的ではない、とは言われなかった。当方はこのメソッドをなぜ非科学として指導されないのか不思議に思っている。指導者の中には、科学の権威のごとく態度でこれを指導される先生がいらっしゃるが、その先生を眺めていると滑稽である。当方は非科学でこのメソッドほど自然界から効率よく機能を取り出せる方法を知らない。また、当方もゴム会社で実験計画法を使い実験していた時に、自然とタグチメソッドもどきの方法を考案し使っていたので、小学校から学びながらその手法を使いこなすのに苦労する科学よりも自然な方法だと思っている。

<技術の方法>

タグチメソッド以外に技術の方法には様々な手法が存在する。また科学を道具として活用する方法は、多くの職場でよく見られる。当方のセミナーではこれらのいくつかを取り上げ、上手な使い方を指導している。

<科学で未解明だがうまく機能を取り出した事例>

1.高純度SiCの前駆体技術

→χ>0であるのに有機高分子と無機高分子を相溶させた。

2.電気粘性流体用3種の構造制御粉体

→電気粘性流体用粉体について科学的未解明の時代の発明。

→いわゆる「心眼」で設計。

*心眼を用いることは技術者ならば誰でも可能。

3.カオス混合技術

→あっと驚く技術である。すでに説明済み。

4.6ナイロンが相溶したPPS中間転写ベルト

→χ>0である6ナイロンとPPSを相溶。

5.各種高分子難燃化技術

6.PETボトルの再生樹脂を用いた樹脂

7.変性ポリスチレンを相溶させたポリオレフィン樹脂

→χ>0であるポリマーブレンドで透明になっている。

8.柄杓を用いたラテックス合成プロセス

→ラテックス合成後に柄杓で3回上澄みをとる技術。

→柄杓を用いると歩留まりが著しく改善された。

→他の方法では改善できなかった。

→古くから現場で密かに伝承されていた方法である。

<科学的否定証明をひっくり返した例>

1.電気粘性流体の増粘問題解決

2.酸化スズゾル帯電防止層

カテゴリー : 一般

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