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2017.10/21 神戸製鋼の問題(5)

成形体を製造するための材料は大別すると、金属やセラミックスなどの無機材料と樹脂やゴムなどの有機材料に分かれる。

 

製品組み立てに使用する部品は、これらの材料を何らかの方法で成形して製造する。この成形プロセスは一定のばらつきをもっているので、部品の品質管理が重要になってくる。

 

この部品の品質を安定化させるためには、材料の品質管理が重要になってくる。そこで材料の品質について成形体の強度をある値以上となるように材料メーカーと成形メーカーが取り決めをしたとする。

 

このとき、材料メーカーと成形メーカーの技術レベルがまったく同じならば材料メーカーで成形体の強度を評価し、その値でもって品質管理が出来そうに見える。実際にはそれが可能な場合と不可能な場合が存在する。この状況は金属でもセラミックスでも高分子でも同様である。

 

だから高分子業界では材料の強度についてはカタログに記載するが、それを材料メーカーが品質規格とするケースは稀である。

 

なぜなら仮にテストピースで60MPa以上の強度値を示す樹脂であっても、それで大物成形を行っても、成形体の場所により40MPa以下となる場所が出てくる(注)。こうなると、コンパウンドについて60MPaを品質規格として採用したとたんにコンパウンドメーカーはクレームの山をかかえることとなる。

 

樹脂業界の裏側を明かすことになるのでこれ以上書かないが、神戸製鋼の問題は神戸製鋼の技術者がこの材料の品質管理について実態に即して運用する知恵を持っていなかったために不正を働くこととなったのではないか、と推定している。

 

(注)成形体メーカーでは、製品設計でこのような場合でも問題が起きないように金型や製品の形状に工夫を加えている。そして成形体について抜き取り検査を行い、その工夫がきちんと機能しているのか検査している。神戸製鋼のお客も製品検査を行っているはずなので、*****であり****となる。***については誤解を招きかねないので書かないことにした。

(注)当方が退職直前に担当した中間転写ベルトの押出成形では、コンパウンドを外部業者から購入して開発していた。しかしコンパウンド業者が当方の改善提案を聞き入れてくださらなかったので、コンパウンド工場を急遽自前で建設することになった。この時のラインでは、インライン検査が可能なように各種センサーをいたるところにつけて立ち上げを行っている。さらに、ペレットには、ベルトの強度や電気特性の偏差まで評価できる品質管理を実施した。その結果現在でもコンパウンドラインから成形ラインまでトラブルはない。インライン検査については、当方だけが趣味的に見られるように設計してあり、生産立ち上げ後は検査項目から外している。ベルト物性の品質管理項目は、早期退職する前にすべて品質管理項目からはずした。安定な工程をどのように立ち上げるのかは、総合的な知識が必要で、形式知だけで行うと神戸製鋼の問題が起きる。ご心配な方は御相談ください

カテゴリー : 一般

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