2018.09/26 貴乃花親方の退職
昨日貴乃花親方の退職記者会見が行われた。相撲協会という組織の中で貴乃花が文末に書いたように語らなければいけない気持ちは十分に理解できる。
妥協して相撲協会に残っても今後自己の信念に基づき何もできない可能性が高い。貴乃花親方の性格を考えると協会が追い出したようなものである。大相撲の歴史に残る大変残念な結果である。
これを組織内の単純なコミュニケーションの問題として貴乃花親方の批判をする人がいたならば、それは一連の流れから組織内で貴乃花親方がどのような扱いを受けていたのか想像できない人である。また、個人と組織の関係について現実の問題を考えられない人である。
組織とは、どのような優れた組織であってもその組織を統率するメンバーでその性格や組織内風土が形成される。すなわち、メンバーが不誠実な人ばかりならば、今回のような問題が必ず起きる。だからドラッカーは組織リーダーとして誠実な人を選ぶように主張していたのだ。
おそらく今後相撲協会は建前を繕うような動きを貴乃花親方に対して働きかける可能性がある。例えば、今回提出されたのは退職届ではない、だから再提出しなければ認められない、とすでにおかしなことを広報部長は記者会見で語っていた。
しかし、ここまで至ったならば貴乃花親方との関係修復は現在の体制が変わらない限り難しいだろう。残念なのは、周囲の組織がほとんど機能していない点である。大相撲評議委員会は何をやっていたのだろうか。
このような問題解決では組織の外部から貴乃花親方と組織の両方に働きかけないとうまく収束できない。暴力問題では貴乃花親方の行動にも問題があったが、隠蔽しようとした協会が一番おかしいのである。しかしその時にも評議委員会はうまく機能しなかった。
甘い当たり前の判断を示しただけである。しかし、相撲協会の中はTVで当時映し出された現実だけでも暴力問題について隠蔽体質が改善されていない状態であり、「当たり前」の判断をしてみても改革はできない。
仮に貴乃花親方が大人の対応をとり、今回組織に踏みとどまったとしても、組織から陰湿ないじめにあう。それは個人として精神的に耐えられないものであり、組織は外部から見えないように個人がつぶれるまでそれを繰り返すのだ。
これは経験していない人には理解できない状態である。個人がいくらこらえていても、組織の圧力は次第に大きくなり、最後は物理的な圧力として殺人まで起きる、あるいはそれを想起させる事態にまで発展する。例えばFDをナイフで傷つけたようにである。
このような組織の異常なまでの圧力は、組織内で気がついた人がいても同様のな処遇にあうことを恐れ被害者を救うことができない。救うことができるのは組織外のそれなりの立場にある人だけである。このような状況で被害者の能力の問題を批判しても問題解決できないのである。
すなわちここまでこじれると個人として可能な最後の手段は組織から外れる以外にない。今貴乃花はその最後の手段を世間に発表したのである。相撲という日本の文化をそれなりの立場にある人は真摯にこれを受け止め解決しなければいけない。
記者会見では「事実無根ではないと書面で説明したが、それを認めないと廃業せざるを得ないという有形無形の要請を受けた。また理事会で一門に所属しない親方は部屋を持てないと決まった。真実を曲げて認めることが私には出来ません」と、貴ノ岩の暴力問題に対し、告発状を出したことに関する遺恨、協会の重圧が引退の最大の要因だと貴乃花親方は語っていた。
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