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2018.11/17 網点表現とデジタル画像

印刷感材の開発を担当した時に網点表現の歴史を調べた。驚くべきことに網点表現の歴史は明治時代までさかのぼる。

 

デジタルの発想など無かった時代に印刷におけるカラー画像の表現技術として網点画像が生まれている。

 

これに限らず、ダビンチの飛行機の模型をはじめ、もっと古くはピラミッド建設などがあるから、科学と無関係に人類が技術を生み出してきたという技術史を理解するのは容易である。

 

ゆえに網点表現がデジタルとは無関係に、すなわち科学の時代に科学とは無関係に生まれたとしても驚くべきことではない。しかし、これが美しく表現したいという人間の欲求から生まれたと聞くと驚く。

 

これは銀塩写真からデジタル写真へ変化した時に、その極めてクリアーな画像にびっくりしたことと反対の驚きである。銀塩写真でも銀の粒子が感光し、それが色素雲を生成し画像を作っていくのでドットで絵ができているという理由でデジタルと変わらないかもしれない。

 

しかし、仮にニコンDfのようなデザインのカメラが登場したとしても、銀塩写真に戻る動きは起きていない。明らかにデジタル画像のほうがきれいだからだ。もし銀塩写真のような画像が欲しければ、デジタル処理でそのようなこともできる時代である。

 

今では科学的にドットを操作し、画像をいかようにも加工できる時代だが、それができなかった明治時代に美しく表現するために網点画像が登場しているのは、やはり驚異的なことである。

 

身の回りのすべてのものが科学的にできているような錯覚をしてしまう現代であるが、科学によらない新たな機能を創り出す努力をしている技術者だけが新たな独創的コンセプトを創り出すことができる。

カテゴリー : 一般

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