2019.01/08 研究開発部門の企画(4)
電気粘性流体企画も高純度SiC企画もCI導入時にLi二次電池企画と同様にゴム会社の新事業3本の柱としてスタートしている。この3種類の企画で、高純度SiCの事業だけ残り、ゴム会社で30年続き昨年末他社へ事業譲渡された。
この3つの企画の違いはどこにあるのか、興味のある方は弊社へ問い合わせていただきたいが、Li二次電池の企画は、スタートして間もなく日本化学会技術賞を受賞している。そして受賞後、すぐに事業をやめている。
高純度SiCの技術は、当方が転職後日本化学会技術賞を受賞しており、その受賞メンバーには電気粘性流体の主要メンバーが入っている。
これらは、いずれも公開情報であり、公開情報からでも研究開発部門の企画はどうあるべきかは推測できる。当方は、学術論文の発表や学会賞への応募をしなかったのだ。
すなわち、研究開発部門の企画は少なくとも技術として成功することを前提として立案されるべきで、アカデミアの様な研究企画を、今の時代企業で多人数のパワーをかけて推進すべきではない。アカデミアへ委託すればよい。
当方はそのような考え方で、高純度SiCの基礎研究を行うため無機材質研究所へ留学している。そして高純度SiCの事業の核となる研究を「プレゼントされた一週間」という期間でそれをまとめた(注)。学位論文にしても役員から勧められて取得しているが、この学位論文においては少しドラマがある。企業はアカデミアと連携し、学術研究はアカデミアに任せて企業は技術開発に専念すべきという考え方を若い時から持っていた。
技術として成功する企画が必ずしも事業として成功するとは限らないが、技術として成功しなければ事業のスタートを切れないのだ。それでは、技術として成功する企画をどのように立案するのかは、弊社へお問い合わせください。
(注)留学前に基礎研究のネタを仕込んでいた。SiC化の反応について動力学的解析は、ゴム会社で業務終了後に行っている。この研究のために残業代等頂いていない。またこの研究は高純度SiCの前駆体について品質管理するために当時必要だった技術でもある。すなわちどのような前駆体であればカーボンも残さずに高純度化できるのか等は当時SiC化の反応について満足な基礎データが無かったため、技術の方向が不明だった。試行錯誤よりも基礎研究を行った方が早道だった。世間の研究が遅れているときには、企業でもこのように研究を行わなければいけない。実は、論文調査をしてみてわかったのだが、超高温熱分析と言う分野においてアカデミアにも研究のできる人もいなければ装置もなかったのだ。この研究については、当方もいわゆる大人の対応として学位取得につられて事後承諾しているので書きにくい部分もある。ただ、当方の研究について勝手にアカデミアから論文として出された事実は論文の執筆者の順序として永遠に残っている。これは嫌な思い出だが、この出来事の後、中部大学の先生からいろいろとサポートしていただけたのはアカデミアのすばらしさの思い出として残っている。アカデミアという世界は良心的な先生ばかりではないのだ。
カテゴリー : 一般
pagetop