2019.01/14 ドラッカーの体験談
ドラッカーは高校卒業後すぐに大学へ進学せず実務の道を選んでいる。この時両親に大反対にあった話も含めその著書で述べているが、面白いのは彼もサービス残業をしているのだ。
彼は働く意味として「貢献」と「自己実現」を言い出した人物であるが、それは高卒後初めての仕事でそれが実現されている。彼は編集長の部下として職業人のスタートを切る。日々の仕事は秘書のような仕事だったらしい。彼はそれ以外に自分が会社へ直接貢献できるような仕事を日々探していた。
ある日、経理から領収書を探してくれと言う依頼を電話で受けた。そこでゴミ箱から探し出した領収書を経理に持ってゆくと、編集長から細々とした領収書も含め、提出されないことがあることを聞かされる。
彼は編集長を観察し、ポケットの中の掃除をする癖を見つけた。編集長の机の横にはゴミ箱があり、そのゴミ箱は毎朝掃除のおばさんが始業前に回収に来ることを知っていた。そこで彼は掃除のおばさんよりも早く出社し、編集長の机の横のゴミ箱の中を整理する仕事をはじめた。
この仕事を始めてから、経理から編集長が提出し忘れた領収書を探すようにと言う依頼が無くなったという。ただし、早朝のゴミ箱掃除の仕事についてドラッカーはやりがいの無い仕事とは述べず、自分が担当した仕事の中で会社に一番貢献した仕事であると体験談を終えている。
この彼の体験談には仕事のやり方のヒントが隠されているが、それよりも早朝出勤の仕事がサービスである点を今の時代は問題としなければいけない、と本田教授ならば言うのかもしれない。
ちなみに彼は現代の労働者を知識労働者とし、肉体労働者と区別している。ドラッカー少年は高卒であり、最初に与えられた仕事は時間勤務の肉体労働であり、その対価をお金で換算するという考え方も出てくるのかもしれない。しかし、ドラッカー少年は、組織における知識労働者として自分の仕事を捉えていた。
カテゴリー : 一般
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