2019.03/21 新規事業を成功させるために(3)
ニコンというカメラメーカーからデータ入力機器としてのカメラ、そしてそれを活用するソフトインフラの提供という新商品が生まれてこないのは理解できるが、キャノンから提案されてこないのは、キャノンという会社の風土によるのかもしれない。特許がいくつか出ているので、それを事業として育てられない風土なのかもしれない。
デジカメ全体の市場がシュリンクする中で、カメラメーカーの動きを見ていると面白い。かつて銀塩フィルム市場はデジカメの性能向上につれ小さくなり、今国内で写真フィルムを生産しているのは富士フィルム一社だけだ。その富士フィルムの主力事業は化粧品である。
フィルム市場は縮小したが、写真をプリントアウトし、それを鑑賞するという文化は健在であり、まさか写真フィルム事業同様にカメラ市場そのものが減少するとは思われない。現在の一眼レフカメラで撮影できるボケとヌケの良い画像は、絶対に携帯デジカメでは撮影できないからだ。ソフトウェアーでボケを導入する手法も生まれているが、まだデジタル処理を多用しても追いつけないレンズ特有の描写感が勝っている。
光学技術はすべてソフトでシミュレーション可能な時代であるが、自然をそのまま写した画像には迫力がある。デジタル処理が普及しても、被写体のテーマまでも大きく修正することは不可能であるし、それをした場合には写真ではなくなる。
ゆえに入力機器として高性能カメラは今後も生き残ってゆくと思われるが、高性能カメラをカメラとしてみている限り、その市場は大きくなることはない。しかし、高性能カメラがインターネット入力機器として主体性をもち商品価値を大きく変えたなら話は別である。
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