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2019.03/29 高分子の難燃化

本日は、高分子の難燃化セミナーを品川区大井町きゅりあんで行います。ところがセミナーの前にショッキングなニュースが飛び込んできまして、あせりました。このショッキングなニュースとは、大塚化学がホスファゼンの国内販売を中止する予定というメールである。

 

大塚化学は、ホスファゼンが無機高分子として注目されていた1980年代初めから事業を行ってきた企業である。おそらく会社のホームページでも詳細発表があると思われるので、この件はここまで。

 

高分子の難燃化技術においてホスファゼンは臭素系難燃剤よりも環境負荷が小さく重要な素材である。しかし、価格が高いので、1980年代に多くの会社が参入したにもかかわらず、現在国内で事業を展開しているのは3社だけである。

 

当方はホスファゼンについては、大塚化学が研究開発をスタートする以前から大学で研究をしていたその道の専門家の一人であるが、ゴム会社でこの化合物で変性した難燃性軟質ポリウレタンを開発して始末書を書いた実績がある。

 

始末書の原因は、試作がうまくいったために上司が川下部隊へ喜んで報告したためだ。当時ホスファゼンが市販されていなかったために、それが大問題となった。

 

市販されていなかったホスファゼンを当方は自分で合成し、上司もそれを見ていたはずであるが、企画提案から試作成功までが4ケ月という短期間だったために、当方が合成していたことなど忘れてしまったようだ。

 

もっとも当方はホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームという魅力的な発明のために昼夜実験を行い、ほとんど徹夜状態で工場試作まで持ち込んだのだが、工場試作を決定したのは上司である。

 

しかし、なぜか試作を行った責任が新入社員にある、ということで、当方は最初で最後の始末書を書くことになった。ただ、この始末書では普通に書いては面白くないので、ホウ酸エステル変性軟質ポリウレタンフォームの提案を始末書で行っている。

 

面白いのは、ホウ酸エステルも市販されていない化合物だったのだが、ただホウ酸とジエタノールアミンをかき混ぜているだけでできる、ということで企画が採用された。

 

矛盾を感じつつもこの仕事も一生懸命過重労働で半年もかけずに試作を成功させて、そして実用化された。ちょうどそのころ大塚化学よりホスファゼン開発のニュース発表があった。

カテゴリー : 高分子

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