2019.05/21 ガラス転移(1)
ガラス転移は相変化ではない。状態の変化である。これは無機材料でも高分子材料でも同じだ。ちなみにガラスの定義は、非晶質体でガラス転移点をもつ物質である。
無機ガラスは、溶融状態から冷却すると、まずガラス転移があって固体のようになる。よく無機ガラスは実は液体だ、と言われるが、これはガラス転移では流動性が極めて遅くなった状態だからだ。
氷は、液体か固体か、と聞かれ、真顔で固体と答えると、いや冷たいだ、という怪しいことを言っているのではなく、ガラス転移が相変化ではないという説明をしている。
昔、品質の悪い並ガラスは雨風によりNaが抜けてゆき、結晶成長が始まり、白っぽく(失透)なった。いまはそのようなガラスは見当たらないが、戦後すぐに建てられた小学校や中学校の窓ガラスは失透していたのでよい教材だった。
子供の科学という雑誌があって、そこにもこの窓ガラスの問題は毎年何処かで取り上げられていた。5年ほどこの雑誌を継続して読んでいたので、このガラスの失透現象、ガラスから結晶化が進行する話は、小学生のころから知っていた。
大学院時代に無機の講座で研究をしたが、その講座で何人かがガラスからの結晶化を研究していたのでびっくりした。セラミックス協会の雑誌を見てもそのようなガラスからの結晶化現象をテーマとして扱った研究が20%程度掲載されていた。
カテゴリー : 高分子
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