データサイエンスによる問題解決方法
<概要>
1990年代に日本で導入が始まったタグチメソッド(TM)は、開発設計段階の品質設計手法として定着した。そして、静的なパラメーターが中心だった品質工学では動的SN比の導入によるイノベーションが起きている。これはDXの進展とも関係し、TMも含むデータサイエンスが今後の技術開発を牽引する学問として脚光を浴び、2017年には大学にその講座を設置するブームが起きている。
データサイエンスについては、1970年代に多変量解析を大型コンピューターで利用できるようになり、人文科学系研究のデータ活用レベルを飛躍的に高めたが、技術系ではデータによる演繹的推論よりも仮説を重視した帰納的推論の展開手法が中心で仮説を直接実証できるデータさえあれば良く、新QC7つ道具に多変量解析が紹介されながらも普及していない。
2010年代に登場したマテリアルズインフォマティクスは、AIを活用したデータマイニングする試みだが、これはビッグデータをデータサイエンスで取り扱い新たな知を探る手法であり、これまでの仮説中心の科学的な手法とは異なる。実は、TMも基本機能に着目した品質設計手法であり、科学のプロセスと異なるメソッドを30年間活用してきた実績となっている。
本セミナーでは、データサイエンスを導入した開発手法が、従来の科学的手法と異なる点に着目し、科学と技術の相違点から解説し、科学的問題解決法と非科学的問題解決法の二つのパラダイムが問題解決手法に存在する気づきから始める。そして多岐にわたる内容を具体的かつ実践的に理解できるよう、30年以上の技術開発において講演者が成功した体験を中心に構成している。そして発展段階であるデータサイエンスをどのように技術開発の実務へとりこんでゆくのか、様々な手法の可能性とその学び方まで解説する。
すなわち、今後AIを活用したデータサイエンスの事例が増えていくと予想されるので、AI「も」一手法としたデータサイエンスの活用法について解説する。データサイエンス全体の概要セミナーとなるが、多変量解析や一部の手法については無料プログラムの活用方法を解説するのでセミナー受講後すぐにその一部の手法を利用できる。データサイエンスの上手な学習方法は、その未来も含む全体像を知り、とりあえず利用できるものを使いながら、そのパラダイムに慣れ親しみスキルアップしてゆく方法である。本セミナーはその入門の位置づけである。
<習得できるスキル>
1.データサイエンスの全体像を理解できます。
2.データサイエンスを学ぶ目標を設定できます。
3.このセミナーで重回帰分析と主成分分析が可能となります。
<対象>
高卒以上の中堅技術者
新入社員技術者研究者
データサイエンスに関心のある技術者
研究開発の管理者、実務担当者
<内容>
1.科学と技術
1.1.問題解決法の二つのパラダイム
A.名探偵ホームズと刑事コロンボ
B.二つの推論の向き
C.タグチメソッドのパラダイム
1.2.iPS細胞の研究開発プロセス
1.3.科学と技術における実験の位置づけ
1.4.トランスサイエンス
2.データサイエンスについて
2.1.データサイエンスの基本
2.2.データと前処理
2.3.モデル化と最適化、パターン認識
2.4.多変量解析
2.5.アルゴリズム
2.6.機械学習
2.7.ニューラルネットワーク
3.モデル化事例
3.1.コンピュータモデル実験と数値シミュレーション
3.2.パーコレーション転移シミュレーション
(希望者にエンジン部分のプログラムサービス)
3.3.配合設計にどのように活用されたか。
A.フィルムの帯電防止層開発事例
B.半導体無端ベルト開発事例
4.データ駆動による配合設計
4.1.グラフ用紙を用いるデータマイニング
4.2.事例:難燃性PETボトル再生樹脂
4.3.ラテン方格を用いる試行錯誤法
5.多変量解析の活用
5.1.重回帰分析と主成分分析
5.2.簡単に活用できるプログラム説明
5.3.事例:電気粘性流体の耐久劣化問題
5.4.事例:難燃性樹脂の品質問題解決
5.5.事例:高分子の劣化耐久予測
6.ディープラーニング
6.1.ディープラーニングとは
6.2.Pythonについて
6.3.事例:難燃性ポリウレタンの解析
(重回帰分析との比較)
7.まとめ
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