高分子材料の劣化・破壊のメカニズムとその寿命予測
<概要>
樹脂・高分子材料が化学変化で劣化すると仮定して、その寿命予測はT-t線図によるアレニウスプロット法で行われるのが一般的である。
また、物理変化を仮定した場合には、過剰変形や高温加熱などの促進試験を行う。市場での劣化は、化学変化や物理変化が同時に進行すると仮定して、この両者の結果から製品寿命を予測する。
しかし、市場での複合変化を実験室で独立した事象として実験している矛盾に気がついておらず、アレニウスプロット法は信頼性に欠ける手法といわざるを得ない。
そこで、化学変化も物理変化も可能な独自の寿命予測法をノウハウとして品質評価試験に採用している企業もあるが、それでも品質問題に悩まされるのが実情である。 本セミナーでは、実際に講師が体験した高級フィルムカメラの裏蓋の破壊事例をはじめ、複数の事例を基に、樹脂・高分子材料の劣化や破壊について基礎から説明するとともに、ワイブル統計の活用法についても説明する。
また、数年前から大学でデータサイエンスの講座設置がブームとなっている状況を鑑み、マテリアルズインフォマティクスの概説も行う。
<対象>
(1) 高分子材料開発を担当する技術者
(2) 高分子材料の品質管理を担当する部門の担当者及び管理者
(3) 製品設計を担当する技術者
(注)高分子物性も含む高分子材料の基礎事項も説明しますので高分子の専門知識が無くても役立ちます。
<目次>
1.固体の破壊力学
1.1 破壊とは
1.2 材料力学と破壊力学
1.3 Griffithの理論
1.4 線形破壊力学の要点
1.5 フラクトグラフィー
1.6 ワイブル統計
1.7 事例:セラミックスの破壊解析
2.高分子の破壊
2.1 高分子概論
2.2 高分子の破壊機構
a.エラストマーの破壊力学
b.クレイジング
c.事例:ポリ乳酸
2.3 高分子の劣化機構
a.化学劣化
b.物理劣化
2.4 ケミカルアタック
3.高分子の寿命予測
3.1 寿命予測概論
3.1.1.アーレニウス式による寿命予測
3.1.2.多変量解析による簡便法
3.1.3.ラーソン・ミラー型による寿命予測
3.1.4.寿命推定試験
3.2 事例:免振ゴムの品質保証
3.3 事例:寿命予測の失敗例(高級カメラの事例)
3.4 事例:ゴムローラの初期故障
4.マテリアルズインフォマティクス
4.1 データマイニングについて
4.2 事例:組立メーカーのクレーム解析
(コンパウンドメーカーの立場で解析)
4.3 タグチメソッド
5.まとめ
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