活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2012.08/26 高分子の混合

異なる種類の高分子を混合(ブレンド)するときにフローリーハギンズ理論を最初に勉強する。そして、χパラメーターを考慮してブレンドする組み合わせを考える。ポリマーアロイはこのような手順で設計するもの、と思っていた。しかし35年前の新入社員時代に指導社員O氏から教えて頂いたのは、新しい材料を開発したければブレンド系の材料設計において高分子物理を信用してはいけない、というアドバイスでした。

 

30年経ち、高分子シミュレータOCTAが登場して高分子物理の成果を容易に可視化できるようになりました。OCTAは複数のプログラムの総称で、高分子のブレンド系シミュレーションではSUSHIを用います。SUSHIの計算でもχパラメーターを使用するので指導社員O氏の言葉によれば、計算結果を信用できないことになるが、いろいろ計算してみると分子構造の組み合わせによらずχに左右されて計算結果が異なって出ていることに気付く。おそらく指導社員O氏がアドバイスしたかった本質はここにあったのでしょう。

 

7年ほどセラミックスの研究開発に専念していたので、高分子材料開発歴は25年でありますが、その大半はブレンド系高分子材料を扱っていました。その経験から、おおざっぱにはフローリーハギンズ理論が当たっているかもしれないが、この理論を拡張あるいは修正しなければ説明のつかないブレンド系高分子およびその現象が多く存在する、と感じています。高分子物理の進歩に期待するところが大きいですが、指導社員O氏の言葉を借りれば、科学が遅れているので今でも錬金術のような怪しい方法で材料開発できる面白い分野、という見方もできます。

 

但し35年間に高分子物理は着実に進歩しており、低分子をポリマーアロイへの分散するときにはSUSHIの情報を材料設計に使えますので、OCTAを若い人が勉強する価値は十分あります。

 

 

弊社では本記事の内容やコンサルティング業務を含め、電子メールでのご相談を無料で承っております。

こちら(当サイトのお問い合わせ)からご連絡ください。

カテゴリー : 高分子

pagetop