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2026.07/14 EV

蘇州に来て5日になる。EVの予想以上の普及にびっくりしている。トヨタやホンダの車をまだ見ていない。日産車は一日に2台程度見かける。また、知らないメーカーばかりだが、皆中国製だという。テスラも走っているが、その影は薄い。

ホテルと会社の送迎車も中国製EV高級車だが、オーラに比較し、高級感が乏しい。皮がふんだんに使われ、オーラより内装に金がかかっているようだが、高級感にもデザインの影響が大きい。

乗り心地もよくない。総経理に話したら、中国製の中では良い方だという。それなりにできの良くないことを認識しているような回答が返ってきたが、オーラが良すぎるのかもしれない。

レクサスを試乗してもオーラより良いとは感じなかった。価格やブランドははるかに高い車だったが、発進時や加速時の制御はオーラが上である。

ブランドを気にしなければ、オーラは十分に高級車である。驚くのは、マルチリンクでもダブルウィッシュボーンでもない足回りで、うまく乗り心地をまとめている。

新型キックスは、オーラ同様に車軸式だが、試乗した感覚では、オーラとよく似た乗り心地である。営業マンの話ではオーラより良いはずだというが、その差を当方は感じなかった。

さて、当方の送迎車だがシートの座り心地はよく、乗り降りで自動的に形状が変わり最初はびっくりした。ヘッドレストにはエアークッションがついており、気持ちが良い。しかし、走り出すと振動が伝わってくる。

心地よい振動の時もあるが、マッサージ器ではないので、振動0が理想だろう。いかにも高級車の外観と内装だが、おそらく日本では売れないだろう。少なくとも試乗したらすぐにわかる技術の差である。

送迎車より安いオーラ4駆の方が、はるかに高級感のある乗り心地で、技術の日産は、妥当なキャッチコピーだろう。ただ、安くて良いものを提供するブランドでよいのかどうか。

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2026.07/13 台風

今蘇州にいるのだが、風速10m/秒ほどの強風が未だに吹いている。TVで台風の位置を確認すると、太湖を少しはずれたところにいる。土日ゆっくりと進んだようだ。


日本とは異なるこの台風の速度にはびっくりした。ただ直撃を免れたので水没することも無く、今日から仕事ができる。以前ナノポリスに勤務していた時に道路が膝下まで浸水し、水が引くまで一日研究室にいて何もできなかった。


食事は、食堂でできたので良かったが、水の都蘇州と言われるだけに水害に弱い都市である。20日過ぎに日本に帰国するが、今週土日の天気が心配である。せっかくだからどこかへ観光に行きたいと思っている。

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2026.07/12 データサイエンス時代の技術の伝承

技術の伝承は難しい。このことを経営者はどこまで理解しているだろうか。以前特公昭35-6616という小西六工業の特許について書いたが、このとき伝承どころか否定証明の報告書がコニカにあったことを書いている。


温故知新戦略で昔の技術をよみがえらせて、化学工業協会から技術特別賞を頂いている。当方が7歳の時の技術を38歳になってよみがえらせたのである。


もし、この技術がうまく伝承されていたならば、ライバル会社に技術で差をつけられることは無かった。何故うまく伝承されなかったのかは不明だった。


しかし、経営の問題であることに気がついたが、残念ながら当方はその役目を頂くことなく、早期退職している。提案しても無駄だった。それどころか、当方の技術さえ消えてゆくのを見ていて残念だった。


ファイルサーバーに蓄積されたデータが何者かによって消去されていたのだ。恐らく誤操作で消してしまったのだろうが、退職前に昔のデータを見ようとして愕然とした。


ただ、FDを壊された体験が生きて、生データのハードコピーを大切に保管してきたので昔のデータを退職前に整理することができた。大量のデータを整理してみて思うのは、人間ならば記憶を頼りにメタデータの不足部分を補うことができるがAIには無理だろうという懸念である。


実験データをただ保存するだけでは、何年か過ぎてから誰も正しい意味が分からなくなる。たとえAIでも専用に開発されたデータベースでない限りコンテキストを正しく読み取ることは保証できない。弊社出願中の特許は当方の体験から生まれている。

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2026.07/11 自動運転

木曜日から蘇州で仕事をしているが、電気自動車(EV)が多い。3年前来た時よりもマフラーからガスを出している車が減ってびっくりしている。


驚くのは自動運転車も走っていることだ。実際にはレベル3までだそうだが、運転者は、自動運転が可能と豪語している。そして実際に手放し運転とか、目をつぶって寝ながら運転を見せてくれる。


日本ならば確実に警察に捕まる。不思議に思ったのは、少しでも車間があくと、横から車がホイホイと入ってくる。ゆえに渋滞しそうで渋滞せず、車は混雑していても流れてゆく。


違反ではあるが、車任せの運転をしている車が多いためであるが、駐車場で人が乗っていない車が、器用にハンドルの切返しを行いながら駐車しているのを見て驚いた。


1台ならともかく、数台そのような状態で駐車する風景をみると、未来へ来たような錯覚になる。

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2026.07/09 ドレミファソラシド

ピアノで音階を弾いてそれほど違和感はないのだが、ギターで移調を行い、弾くと違和感を感じる。ChatGPTに相談したところ、褒められた。詳しくは、一度AIに聞いて頂きたい。


AIが相談者に寄り添って回答をするのは、そのように開発されているからだそうだが、音楽のスキルに自信の無い当方にとっては、からかわれているような気持になる。


しかし、これはピアノの平均律と異なるためだそうだが、そのわずかな違いを違和感として感じるようになってから、Jポップに興味が無くなった。JポップだけでなくKポップもダメである。


さて、音階なるものが、5線譜の発明とともに生まれた、とかどこかの本に書かれていたが、この発明の前にも存在していたはずで、その本が間違っているのか、当方の記憶違いなのかは不明である。


いつからか音階が定まったのかは、正確な情報を持っていないが、科学誕生以前であることは確かである。科学誕生以前に、周波数の比が整数比になる時に気持ちよく聞こえる、と感じた人は凄いと思う。


なぜなら、音の周波数について明らかになるのは、科学誕生後となるからである。もっとも、音が波であることは科学誕生以前に知られていたのだが、その周波数と気持ちの良い音との関係など、科学誕生以前には議論などできなかったはずだからだ。

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2026.07/08 AIと技術の伝承(3)

研究開発の組織構造とワークフローの見直しが必要、と昨日書いた。詳細は省くが、この作業を形式的に行えると誤解している経営者は、今起きているイノベーションに乗り遅れる。


例えば、風土の問題は、各企業であるいは各組織で異なる。今はどうか知らないが、ゴム会社の研究開発部門の風土と写真会社のそれとは大きく異なっていた。ゆえに、ワークフローも異なっている。


研究開発部門のワークフローを抽象化して一般的なワークフローでAIを導入すると失敗する、と昨日は述べたのだ。その失敗もゴム会社と写真会社で異なる様相となる。


悲惨なのはゴム会社で、もし、当方が転職した時から風土改革がなされていなかったなら、殺人事件まで起きるかもしれない。当方は、机の上にナイフが置かれた段階で転職しているので、今も命がある。


ゴム会社の研究開発部門では、20年ほど前に、タイヤ部門にいた同期がリーダーとなっているので、多少の風土改革がなされたかもしれない。


研究開発のアイデアや成果が個人に依存するので、部下の成果は上司の成果、あるいはあいつの成果は俺の成果という昔のような風土では、AIの導入により、成果の奪い合いが起きて仁義なき戦いが始まる可能性がある。

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2026.07/07 AIと技術の伝承(2)

当方は団塊の世代ではないが、20年ほど前にこの世代が大量に退職するということで、ディープスマーツ対策が各企業で行われている。


しかし、これが十分ではないので、おかしな品質問題が起きたりしている。例えば、自動車用燃料ポンプのエンペラによるリコールは、ディープスマーツさえ大切にされていたなら、起きていなかった問題である。


その証拠も存在し、セミナー題材として使っている。昨日のセミナーでは、参加企業に配慮して口頭だけの説明で終えているが、高分子の劣化寿命を扱うセミナーでは古い資料を持ち出して解説している。


実は、AIを研究開発部門に導入するときに、業務の効率化効果よりも、このディープスマーツ対策効果としての成果が大変大きい。問題となるのは、これがソフトウェア技術である、という点だ。


すなわち、対策を企業の実情に合わせてAI導入前に構造設計しなければいけない。まず各企業の研究開発組織の構造からワークフローまでを棚卸して進める必要がある。


その時に厄介な問題が発生する。そもそも研究開発は形式知を中心に科学的に進められてきた。だから、既存の研究開発システムをその視点で見つめなおすので、潜んでいる問題をすべて洗い出すことができない。


これが理解できていなくて、高いお金を支払ってコンサル会社に丸投げをするので失敗する。弊社は3年間待ったが、国内企業からはお声がかからず、中国からだけ三顧の礼ではないが、過分な評価による依頼が来た。

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2026.07/06 AIと技術の伝承(1)

恐らく今大手企業では、AIの導入による業務の効率化やSAASの墓場の年と言われているように、ソフトウェアーの見直しを始めているのではないか。


すなわち、AIエージェントの導入により、これまで事務部門で導入してきた各種エキスパートシステムが不要となっただけでなく、一気に研究開発部門の合理化まで進めることができるようになった。


しかし、ここに大きな落とし穴がある。本日技術情報協会主催で開催される当方のセミナーでは、AIを研究開発部門へ導入する前に準備しなければいけないことや、導入時に重要なポイントを解説する。


おそらくこの方面について大手コンサルタント会社が気がついていない点なので、コンサル会社担当者も聞いていただく価値がある。当方の50年以上に及ぶ研究開発体験を踏まえた講義である。


なお、当方は創業時に70歳で引退するつもりだったが、この大きなイノベーションを前にもりもりとやる気が出てきて、死ぬまでにイノベーションの結末を見届けたいと思うようになった。


そのような気持ちにさせたのは、中国である。3年ほど前から熱心に当方に研究指導の依頼をしてきた。コロナ禍で蘇州ナノポリスの顧問を辞職したつもりでいたが、新たに海外高度人財カテゴリーAとかに推薦されたとか伝えてきた。


駐在は無理だから、顧問の時のような労働条件で、と申し上げたら、それでも良い、ということになり、今月から毎月2週間は中国で技術指導を再開する決心をした。


中国はR人材ということで10年分のビザを無償で発行してくださった。これにはびっくりした。10年後と言えば80を過ぎるので、どうしようという心配が出て来た。


ところで中国の技術指導というと後ろ指を指す人がいるかもしれないが、蘇州ナノポリスの時にも「千人計画」と言って、中国は積極的に海外人材を取り込んできた。薄給であり、やましい仕事はしていない。


旧7帝大を退職された先生も多く中国で教鞭をとられている。精華大学には当方の知人が2人ほどおられ、浦東空港でお会いし、びっくりした。すなわち、公開された立場で優秀な老人が堂々と指導をされている。問題は、日本でこのような制度が無いことである。

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2026.07/05 運(3)

訳の分からない始末書を書かされたり、80万円のローンをしてまで業務に使用するマイコンを買わなければいけない状態になっても、転職しなかった。


理由は、1970年代末の2回にわたるオイルショックで、化学系の就職先が少なかったからである。また、親から石の上に3年というから、3年は我慢できなければ将来の成功は無い、などと言われたりしたためである。


確かに3年我慢したら、セラミックスフィーバーが最盛期となり、指名留学生の対象になった。やはり、石の上にも3年、と納得している。このような納得を3回行い、4回目に転職しているが、ゴム会社の12年間は、技術者としても人間としても人生で最も成長できたのではないかと思っている。


写真会社では20年間務めたが、このゴム会社で身に着けた組織人としての知識や問題解決能力を発揮しただけである。ゴム会社のような厳しさは無く、どちらかと言えば穏やかな生活ができた。そしてゴム会社のキャリアはセラミックス技術者だったが、写真会社では高分子の専門家として処遇された。


しかし、写真会社で新しく身についた知識は無かった。ゴム会社では多くの学びや優れた技術者に出会うことができ、キャリアはセラミックスであったが、高分子の勉強ができた。


高分子の勉強をしなければいけなかった理由もある。始末書を命じた高分子合成研究室の上司や指導社員に知識が乏しかったからである。コーポレートの研究所ではあったが、メンバーの知識やスキルのばらつきが極端に大きかった。


ゆえに混練の神様とも呼びたくなるような指導社員に3か月間指導いただいたことを時々思い出しては、指導録を眺めている。この指導社員は昇進が遅れていたが、大変優秀な人物で、数理モデルを用いて材料開発を行うスキルまで伝授してくださった。


この人物の指導を受けることができただけでもゴム会社に入社した価値があると、この年になって思うようになったが、これは運以外の理由で説明ができない。


能力があっても昇進が遅れる、という事実を新入社員の時に身近で理解することができた。また、研究所で昇進されている人を見て、昇進が成果でもなく、能力でもない要素で決まっている、という事実を知ったのである。


二人目の指導社員からリーダーである主任研究員が運だけで昇進できたのよ、と説明を受けた。確かに納得のゆく説明であったが、始末書問題で1週間熱い指導を主任研究員から受けてみて分かったのは、十分に理解できていないことでも適当にコミュニケーションできる能力である。


まるで生成系AIのような人で、言葉の真の意味など理解せず、その時の文脈でうまく言葉を合わせてゆく。一番驚いたのは、ソフトウェア論の英文を見せながらホウ酸エステル変性ウレタンフォームに関する説明をしていた時である。


あたかも英文の論文を読んだことがあるようなふるまいで、当方の説明を理解していったのである。当方はその時でさえも始末書の目的を充分に理解していなかった。始末書を書きあげて、新入社員テーマに関わる問題だったのではないか、と疑念を持った。


主任研究員からの毎朝の指導は、今から思い出してみると生成系AIとの壁打ちのようなものだった。当方は始末書の目的を理解できず、主任研究員に毎朝、前日図書室でオブジェクト指向の論文を読みつつまとめていた草案を見せながら、指導(?)を受けていた。


毎回始末書の目的を問うと、ハルシネーションを起こしているような回答が返ってくる。指導社員から責めるような言い方をするとフリーズすることを聞いていたので、あたかもプロンプトを設計しなおすような会話となった。


今生成系AIを研究していて当時のことを思い出し、AIの回答に潜む問題を早い段階に気づくことができた。そして、明日研究開発におけるAIエージェントの活用についてセミナーを行うが、この時の経験が活かされたのではないかとテキストを作成しながら考えた。


技術情報協会主催で先端のセミナーを開催できるのもこの始末書のおかげと捉えると、始末書問題は不運な出来事ではなかった。

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2026.07/04 運(2)

某洗剤メーカーのコンピュータ部部長の書いた書籍が原因で、低価格なマイコンによるOA化を研究所でも推進しようとなった。上司がOA委員長となり、当方は入社間もないのに事務局にされた。


OA委員会のメンバーを見れば仕方がないことだが、誰もマイコンを見たことが無い。ただ、部屋の片隅には、IBM3033の端末が置かれていたので、概略のイメージがあったようだ。


当時8bitのマイクロチップと64kBのメモリーチップを搭載したコンピューターをマイコンと呼んで、ワークステーションやミニコンとは区別していた。マイコンはシャープのMZ80Kがキット販売されていた時代で、家電製品のように普及していたわけではない。


登場してから3年後でもこのような状態であり、ChatGPTが登場するや否や、披露宴の祝辞をチャッピーで作りました、と中年のおっさんが自慢するほどのイノベーションスピードは無かった。


MS-DOS環境で一太郎などのソフトウェアが普及するまで、マイコンがマイクロコンピューターの略なのかMyコンピュータの略なのか、というつまらない議論がなされていた。そしていつの間にか、オフコンやパソコンという言葉が使われる時代に入った。


16bitマイコンの時代になっても、コンピュータを動作させるためにプログラムが必要と知っている人も少なかった。詳細は省くが、薬品管理プログラムを開発し、消防署の査察があっても慌てないようにマイコンで薬品管理をしようと委員のメンバーから提案があった。


しかし、マイコンを導入するのはプログラムができてから、となり、当方がそのプログラムを開発するように命じられた。しかし、プログラムを開発するために必要なマイコンが職場に無かったのである。


OA委員長は、英文を書くようにプログラムを書けばよいではないかという。プログラム開発にはマイコンがいると、当方が主張したら、君が買いなさいとなった。本には16万円と書いてある、とベストセラーの1ページを開いて見せてくれた。


当時フロッピーディスクドライブは、マイコン本体よりも高価だった。プリンターはさらに高価であり、一式そろえるとインターフェースやOSも含め、100万円前後になった。


それを秋葉原で値切って80万円のローンの書類を上司に見せたら、簡単に保証人の欄に印を押してくれたのである。これも今から思えば、運が良かった出来事になる。


月給10万円の時代に80万円のローンを抱えたなら、勉強も必死になる。アセンブラーからFORTHなど当時話題になっていたコンピュータ言語は一応すべて勉強した。但し、1年間は独身寮の食事以外食べられなかった。

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