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2020.08/04 コンセプト(1)

軟質ポリウレタン発泡体難燃化技術のテーマを担当した時に世界初の難燃化技術を提案してほしいと言われた。そこで当時注目されていた新素材ホスファゼンを難燃剤として応用する技術を企画した。

 

特に明確なコンセプトがあったわけでなく、世界初=当時の先端技術の応用研究=ホスファゼンという単純な連想ゲームである。

 

工場試作まで成功したが始末書を書かされた話をこの欄で書いている。市販されていない材料を自分で合成して研究テーマを成功させた。ところが、事業性が無い、ということで社内の問題になった。

 

管理職がテーマとして認めて推進したわけだから、管理職が責任を取るべきなのに、新入社員がやりたいと主張したので新入社員の責任ということになり始末書を書かされたのである。

 

半年もかけない開発期間で過重労働をして工場試作を成功に導いても始末書である。もちろん新入社員二年間は残業代が出ないのでタダ働きである。

 

パワハラが問題となる今時にこのような入社間もない社員の扱いを信じてもらえないかもしれないが、事実であり証拠も思い出として残している。

 

始末書の内容でもめたのだが、新規合成されたホスファゼンでイントメッセント系(当時このような概念は無かった。イギリスの学会誌にも掲載されている)の難燃化システムという世界初の成果を経済的に実現するために、「燃焼時の熱でガラスを生成させ難燃化する」コンセプトを管理職に提案し、それを始末書に書いた。

 

始末書か企画書かわからんような書類だったが、管理職が喜んで経営陣に提出している。そして半年後には工場試作を成功させよ、と過重労働を命じてきた。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2020.07/30 混練温度

高分子の混練温度について誤解をしている人が多い。特に樹脂の混練経験者は、Tm以上にシリンダー温度を設定しなければ、混練できないと誤解している。

 

高分子はTgとTmの中間領域の温度でも混練できるのだ。ゴムのロール混練では、室温で混練した経験がある。

 

このような話をすると、ステレオタイプ的に分子の断裂を言い出す人がいる。実は、Tm以上で混練しても配合設計が悪ければ分子の断裂は起きる。混練で分子の断裂は起きるのだが、条件設定によりその程度は変化する。

 

すなわち、Tmの温度以下で二軸混練機を用いて混練するときに、各シリンダー温度の設定の仕方が重要になってくる。これはノウハウになるので詳しく書かないが、ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。

 

混練温度をTg以上で任意に設定できる技を身に着けると、二成分以上のポリマーブレンドをうまく混練できるようになる。

 

換言すれば、ブレンドしたい高分子の溶融時の粘度を揃える、あるいは近い温度で混練することが可能となる。これがどのような意味を持っているのかもご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。

カテゴリー : 高分子

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2020.07/29 無料セミナー

前回の無料セミナーで某社のセミナーソフトの使い勝手が分かったので、別の会社のセミナーソフトを検討するために再度二時間程度の無料セミナーを企画している。

 

もし、この欄の読者でご希望のテーマがあれば、問い合わせフォームから提案していただけるとそれを二時間でまとめて実施します。ただし、前回同様テキストは有料となります。

 

テキストを購入されなくても参加できますので、セミナー聴講後テキストを購入することも、あるいはテキストを全く購入しなくてもかまいません。

 

高分子材料関係からセラミックス迄材料に関することならばなんでも取り扱います。また、企画スキルを磨くための内容や問題解決法、タグチメソッドなど技術開発手法についても実例をもとに講義可能です。実務のスキルアップのためのテーマでも構いません。

 

ちなみに、弊社創業時には問題解決法について数回セミナーを行っています。PRに限界があり、参加者が伸びず中断していますが、受講者の評判は悪くなかったです。

 

もし、何も読者からご提案が無ければ、難燃化技術かブリードアウト、カオス混合技術のいずれかを実施しようと考えています。

カテゴリー : 高分子

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2020.07/27 フェノール樹脂とポリエチルシリケート

この2種の高分子は均一な混合が難しい。高速ラボミキサーで1000回転以上で攪拌してもすぐに相分離する。混練機の中でどのようなことが生じるかを観察するためには面白い組み合わせである。

 

ポリエチルシリケートは、分子量により水のような液体から高粘度液体まで粘度は大きく変化する。

 

フェノール樹脂は、ノボラック型かレゾール型かでその分子構造は異なり、粘度も固体から液体まで変化する。分子量によりもちろん粘度は異なる。

 

両者の粘度差が小さい時に攪拌は難しくないが、粘度差が大きい時に低速攪拌では、目視で均一にできないことを容易に体感できる。

 

面白いのは、両者に溶解しうる酸触媒あるいはアルカリ触媒を用いたときで、粘度差があっても、低速で混合が進行する様子を観察できる。

 

この時粘度差があると目視でも不均一を確認できるような状態で硬化するが、粘度差がないと均一に見えるように硬化してゆく。

 

これを高速攪拌機で実施すると、驚くべきことに均一な透明液体が得られる時がある。さらに最適化すればそのまま硬化する。

 

フローリー・ハギンズ理論では、χが0でない時には相溶しないことが知られている。ただこれは平衡状態における話だ。それが教科書には明確に書かれていないので、高分子のブレンドを考えるときのアイデア創出の障害となる時がある。

 

高分子のブレンド系についてプロセス設計を行う時には、この理論にとらわれすぎないようにすることが賢明である。

 

χも一つの制御因子であるととらえることが重要で、χが0の組み合わせでも粘度差が大きいと実際のプロセスで相溶させることはできない。

カテゴリー : 高分子

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2020.07/22 高分子材料の物性と熱分析

高分子材料の体積固有抵抗のばらつきと粘弾性測定データとが相関する、と聞いてびっくりされる方がいるかもしれない。

 

また、それを品質管理に利用していた、などと話したら、科学を知らない人だと当方をバカにされる方もおられるかもしれない。

 

実は高分子材料では、その高次構造を媒介変数として電気特性と力学物性とが相関してもおかしくないのである。

 

例えば、PPSと6ナイロン、カーボンという配合システムでは、混練がうまくいっているときのカーボンの分散状態は、PPSと6ナイロンの高次構造に大きく影響を受ける。

 

そもそもカーボンの分散状態も高次構造の要素ではあるが、成形体の電気特性が、カーボンの分散状態の影響を受けることに気が着けば、この現象を容易に理解できる。

 

一方粘弾性について高分子材料の高次構造に影響を受けることは、一般に知られている。このことから、高分子の高次構造を媒介変数として、力学物性と電気物性とが相関する現象を理解できるはずだ。

 

マテリアルインフォマティクスは、このような観点で高分子材料を研究してみようという試みとも言えるが、カタカナ言葉の常で、何か高尚なことを研究しているような誤解を生みだしている。

 

カテゴリー : 高分子

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2020.07/21 プラスチックごみ

プラスチックごみを資源ごみとして分別回収しようという方針が決まったようだ。名古屋河村市長のご意見を拝見したい。

 

理由は、10年以上前、名古屋では廃プラについて細かく分類し、資源ごみとして回収していた実績があるからだ。

 

ところが当時政府の専門家委員会とやらがサーマルリサイクルが最も経済的、という方針を出したので、それに河村市長はかみついた。

 

河村市長の希望に近い形になるかどうかは知らないが、10年以上前に決まった政府方針とは異なる方針であることは確かで、名古屋市長がどのような対応を取られるのか興味深い。

 

プラごみのリサイクルで問題となるのはコンタミである。仮にきれいに洗浄でき、樹脂だけうまくとりだせたとしても、バージン材同様の純度まで上げるにはコストがかかる。

 

多種類の樹脂のブレンドでも性能が出る様な手法があればよいが、非相溶系のポリマーブレンドでは、海島構造となり、島相の性質によっては強度の出ない樹脂となる。

 

多成分のポリマーブレンドについて過去に実験した結果では、一般の二軸混練機で混練しても良い物性が得られなかったコンパウンドが、カオス混合すると実用に耐える物性になった。

 

ある添加剤を添加したところ、さらに性能が向上した。樹脂の電顕写真を観察したら、二軸混練機だけで混練したコンパウンドは大きなドメインを形成した相分離構造だった。

 

しかし、ある添加剤が添加されてカオス混合されたコンパウンドでは、サラミソーセージのような複雑な構造をしていた。

 

ブレンド系高分子の設計は、セラミックや金属などのブレンド技術よりも難しい。理由は、セラミックスや金属では、結晶を目標に設計してやれば、そこそこの材料が得られるが、高分子ではそのような設計方針を取ることができない。

 

しかし、難しいように見えるが、ある形式知に着目すると簡単に面白いアイデアが出てくる。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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2020.07/20 高分子の熱分析

高分子の分析手法として、熱分析は1980年代までに学会で積極的な議論がされていた。そして、トリッキーな測定方法も開発されたりしたが、最近はあまり話題にならなくなった。

 

高分子を実務で扱っている人が驚くのはその分析費用であり、社外で分析をお願いするとサンプルの処理時間も含め2時間程度で終わっても10万円以上する。

 

もし、高分子材料を品質管理しなくてはいけない企業では、TGAやDSC程度は自前で持っていた方が経済的である。できれば粘弾性装置もそろえておきたい。うまく使用すれば、今時の装置は30年使用できる。

 

転職した写真会社には製造された年代から20年前の装置と思われる熱重量分析装置があったが、十分使用できた。

 

ところで、品質問題の原因を探るために高分子材料を分析しようとしたときに、まず何から始めるのか?これは問題の内容により様々であるが、問題の内容にかかわらず、TGAとDSCは測定しておきたい。できれば、カスタマイズした粘弾性データも取っておきたい。

 

品質問題の原因となったロットと正常なロットでは、これらのデータのどこかに差異が現れるからだ。その差異について、必ずしも形式知から考察できる必要はない。

 

データが蓄積されて、品質問題の傾向との関係が見えてくれば、その相関関係を考察するとノウハウが生まれる。

 

これは今話題になっているマテリアルインフォマティクスという概念のカテゴリーであり、詳しく知りたい方はご相談ください。

 

カテゴリー : 高分子

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2020.07/19 ノウハウ

高分子に機能を付与するために添加剤を添加する。その結果、添加剤のブリードアウトの問題や添加剤の可塑化効果で弾性率の低下に悩まされたりする。

 

そのために配合設計技術が重要になってくる。ゴムや樹脂における配合設計技術は各社各様である。

 

そもそも市場品質の考え方も様々で、JIS規格が決まっていても独自評価技術を採用している企業もある。

 

例えば、DSCの測定条件について、昇温速度は20℃/minとJIS規格に書かれているが、TGAの測定結果と同時に比較したい時には、DSCの測定条件は10℃/minとしたほうが良い。

 

理由は、TGAの測定条件として昇温速度20℃/minは早すぎるからで、両者のデータを比較したいならば10℃/minの昇温速度で揃えて測定した方が好ましい。

 

TGAとDSCのデータを比較するときに昇温速度を揃える必要があるのは、それぞれの測定結果が昇温速度の影響を受けるからである。

 

熱分析を事例に、JIS規格が決まっていても独自評価法が生まれる状況を書いてみたが、熱分析において昇温速度の影響があることを知らない人には訳の分からない説明となる。

 

同様に独自評価法を社外の人が知ってもわけのわからない評価法に見えることがある。ノウハウとはそのようなものである。

 

カテゴリー : 高分子

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2020.07/18 木材のクリープ

学生時代にアコースティックギターを買ったのだが、社会人になった時に独身寮生活だったので、周囲への騒音配慮で弾く機会がなかった。

 

その後、無機材質研究所へ留学していた時に、少し弾いていた。しかし、結婚して忙しくなったら、また弾かなくなってしまった。

 

写真会社で50を過ぎたときに倉庫をパーティションで区切っただけの部屋で仕事をするようになって、暇になった。そこで、ギターを弾こうとしたら弦高が高くなって演奏性が悪くなっていた。

 

しかし、当時の気持ちとして学生時代の思い出を捨てる勇気もなく、ギターを弾きたい思いだけ残り、ボーとしていたらギブソンES-335を購入してしまった。

 

このあたりの脈絡のない行動は今でも理解できないが、コロナ禍で高校時代の友人たちとメールで語り合ううちに、学生時代に購入したギターを修理してみようという気持ちになった。

 

このような気持ちになった理由は後日書くが、今日は弦高が高くなった原因が、表板の膨らみにあり、それが表板スプルース材のクリープによるもので、これを防ぐことは難しいという話題。

 

前置きが長くなったが、アコギの弦は、演奏後緩めておくべきか、張ったままにしておくべきかの議論について、材料科学の立場から前者が正しいと思われる。

 

昔読んだギターの入門書には、演奏後緩めると弦が切れやすくなり寿命を短くするので緩めない方が良いと書いてあった。しかし、ギター弦の価格とギター本体の価格を考えたら、緩めておくのが正しい。

 

なぜなら、材料に一定応力をかけていると、必ずクリープが起きる。いくら木材のクリープ速度が遅くても、クリープという現象は避けられないので演奏後ギター弦を緩めておかなければ表板はやがて膨れてくる。

 

このような初歩的なことを学生時代には理解していなくて、ギターの入門書に書かれていたことを信じて高価な楽器を扱っていた無知を反省している。

 

もっとも、クリープという現象は、材料の専門家でなければ理解できない。一般教養では「コーヒーにクリープ」が常識なので仕方がないのかも。

 

カテゴリー : 高分子

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2020.07/16 マテリアルインフォマティックス

情報化時代となり、ビッグデータを活用した成果が連日ニュースになっている。

 

世界一のスピードを誇るコンピューター「富岳」によるコロナ感染シミュレーションは、おなじみになった。

 

材料開発にもAIを導入してこの手法を使っていこうという動きがマテリアルインフォマティクスだが、高分子の世界では1970年代にゴム会社で行われている。

 

二度のオイルショックで燃費改善をタイヤの材料開発で実現しようとしたテーマが企画された。このテーマでは、転がり抵抗の低減とグリップ性能とは二律背反となり、科学的に解を得ることが難しく、多変量解析による最適化が行われた。

 

IBMのビジネス用大型コンピューターの統計パッケージが使われたのだが、当方は新入社員実習テーマ「タイヤの軽量化」でこれを使用し、データ入力から結果を得るのに一日かかった記憶がある。

 

今となっては文明の遺物、パンチカードでデータ入力するのだが、このパンチカード作成も大変だった。さらにデータカードができてもすぐに答えが出てくるわけではなかった。

 

OSはマルチタスクで処理されていただけでなく、ジョブの優先度も決められていた。POSシステムのデータや経理処理の後に解析が行われたので、結果が翌朝でてくるということもあった。

 

当時3033という型式で呼ばれたコンピューターを使っていたのだが、今のマイコンに比較すると赤ん坊のような頭脳なのに20帖ほどの快適な部屋で大きな顔をして2台鎮座していた。

 

また、セラミックスでは無機材質研究所でこのような手法で研究を行っていた人もいた。JANAFの熱力学データやASTMカードのデータを打ち込んでデータベースを作成し、研究をされていた。

 

当時はデータベースを作るところにも一山超えなければいけない手間がかかった。それだけでなく、AIの代わりに、職人並みの経験知を有した研究者の頭が頼りであった。

 

高分子学会誌6月号でもビッグデータの話題が載っていたが、温故知新と言ったら叱られるか?無料セミナーでも実例を使って少し説明いたします。

 

無料セミナーでは、多変量解析による難燃化因子の解析結果から、なんちゃってデータ駆動による難燃性環境対応樹脂の開発事例などを説明します。

カテゴリー : 一般 高分子

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