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2012.11/04 ホスファゼン系難燃剤

ホスファゼン誘導体は優れた難燃剤であり、大量生産すれば価格が下がることも30年以上前から言われてきたが、リン1モル当たりの価格は、汎用難燃剤に比較し、まだ高価である。ただ最近開発された分解温度の高い縮合リン酸エステル系難燃剤よりもわずかに安い。3年前PETの難燃化にホスファゼンを使用してみて技術の進歩を感じた。

 

しかし難燃剤の評価というのは難しく、一般に一定条件で難燃剤を樹脂へ添加した時の評価結果で効果を評価するので、ホスファゼンを使いこなすという目的が無い限り、ホスファゼンの正しい評価はできない。樹脂に難燃剤を分散した時に分散状態が難燃性に影響するためで、これはホスファゼンに限らず他の難燃剤も同様の事情を抱えている。多数の難燃剤が開発されている背景でもあるが、この問題を難燃剤メーカーは少し考えたほうが良いと思う。

 

もしどこかの難燃剤メーカーが樹脂への分散を制御する技術を開発したならば、数種類の難燃剤を大量生産しコストを下げ、分散制御技術とセット販売するビジネスが考えられる。化学的にはリン原子1モル当たりの難燃効果はそれほど変わらないはずで、このようなビジネスは実現可能性が高いと思うが、その戦略が有効に働くのはホスファゼンメーカーである。ホスファゼン誘導体は、PNC(ホスフォニトリルクロライド)と呼ばれる1種類の化合物から類似の反応で様々な誘導体が合成されるので、PNCのコストダウン効果をそのまま生かせる。

 

ホスファゼン誘導体の1種はLiイオン二次電池電解質の難燃剤としても利用されているが、価格が高いのが問題で、代替技術が開発されたこともあり今後二次電池の市場が拡大してゆくときにコストダウンが課題になる。ホスファゼン誘導体を合成しているメーカーは少し知恵を絞り戦略的にビジネスを展開すると一気に成長できるチャンスがある。

 

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カテゴリー : 高分子

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