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2012.11/26 高純度SiCのホットプレス

フェノール樹脂とポリエチルシリケート、酸触媒から合成される半導体用高純度SiC紛体は、そのままでは常圧焼結でもホットプレスでも焼結できない。これは猪股先生の焼結理論から自明であり、共有結合性のあるセラミックス紛体は、皆同様の結果となる。ゆえに焼結するときには助剤が必要でせっかく高純度に合成できても成形体として用いるときに純度が下がることになる。高純度のまま使用する場合には昇華法によるウェハー作成が最も適した分野である。

 

SiCの焼結技術については1980年前後にプロチャスカの発明が発表され、一応の完成をみた。ホットプレスによる検討が1970年代に行われ、カーボンはじめいくつかの助剤系が見つかっていた。そしてボロンとカーボンを用いる常圧焼結技術がプロチャスカにより開発された、というのが概略の歴史であるが、1990年代までSiC製品の大半は反応焼結で製造されていた。ブリヂストンがS社とJVを立ち上げた時にも特許出願を行い反応焼結体で半導体治工具を作っていた。

 

高純度SiCは、フェノール樹脂とポリエチルシリケートの比率を変えることにより高純度カーボンを同時に製造することが可能である。ホットプレスに必要な助剤量1-6%前後も容易に制御できる。この高純度カーボンを残すメリットは他にもあり、カーボンが均一に分散した高純度紛体を製造できたり、SiC合成の時に粒子の大きさが均一になったりする。後者はカーボンが存在すると粒成長を阻害するからで、nmレベルの均一な超微粒子のSiCまで製造することが可能である。

 

高純度SiC合成時に高純度カーボンを微量同時に合成する条件でホットプレス用高純度SiCを合成できる。カーボンだけでSiCをホットプレスするときにカーボンの分散状態が緻密化に影響する。カーボンが拡散しにくいためであるが、このような観点からも高純度カーボンの同時合成条件は重要である。

 

高純度SiC合成時に高純度カーボンを残す合成条件は、ホットプレスに有利なだけでなく、超微粒子化できるので昇華法の原料としても長所となる。今から約30年前の発明である。

 

 

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カテゴリー : 電気/電子材料

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