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2012.11/27 ホスファゼン油

電気粘性流体は、特殊な半導体微粒子と絶縁油とからできている。ゴムの袋に入れる場合には、ゴムから抽出される成分を無害化するための添加剤を添加しなければいけない。それにしても3成分で高機能な油ができる。

 

20年以上前にブリヂストンで担当した最後の仕事で、高純度SiCの開発を一人で担当しながら片手間にやりました仕事です。片手間でやった仕事の割には成果をたくさん出すことができました。ゴムからの抽出物を無害化する成分の開発成果、特殊な半導体微粒子の開発成果は在職中に採用されました。絶縁油は、試作まで行いましたが、仕事の妨害を受けたFD破壊事件のためやむなく中断し転職したため最後まで仕上げることはできませんでした。

 

文字通りブリヂストンの最後の仕事になりました絶縁油ですが、これを完成させたら電気粘性流体の組成全部を開発したことになります。さらにこの絶縁油はライフワークの一つとして研究していたホスファゼンを応用した技術なので、できれば最後まで仕上げたかった、と思っています。

 

ホスファゼンは、PN結合を含む環状化合物の総称で、無機ベンゼンと呼ばれています。昇華性を示す化合物はベンゼンのように気持ちの良い匂いがします。側鎖基をいろいろ変化させると機能性材料になります。例えば、PN化合物なので難燃剤分野は最も利用されている分野です。電池の電解質にも使われています。イオン導電体にもなります。PN環の誘電率が高いので、電気粘性流体に使用すると、とんでもない性能が出ます。

 

ブリヂストンでホスファゼン変性ポリウレタンフォームの研究を行い、その後Li二次電池用に難燃性イオン導電体としての研究(学位論文の一部)、そして最後に電気粘性流体用の絶縁油開発を行いましたが、この絶縁油は少し面白い構造をしています。ホスファゼンは、3員環以上の多環状化合物を選択的に合成することが難しいですが、それでも8員環以上の化合物も見つかっています。7員環の化合物は融点が低くー10℃以下で、他の員数の化合物を溶かすと凝固点効果でさらに融点が下がります。誘電率も高いので電気粘性流体への応用を検討しました。

 

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カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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