2012.12/03 燃焼時のドリッピング防止
樹脂が燃焼すると燃焼時の熱で多くの場合溶融物(ドリッピング現象)が生じる。炭化しやすい樹脂ではドリッピングは生じないが、射出成形や押出成形で成形される樹脂のほとんどは難燃処理しなければ、ドリッピングする。燃焼試験の規格によってはこのドリッピングを防止しなければ通過しない場合がある。
例えばUL94-V試験は、燃焼サンプルの下方に硝化綿を置き燃焼試験を行う。硝化綿は少しの火の粉でも燃焼するので、ドリッピングがあると燃焼する。ドリッピングがあっても燃焼しなければ、UL94-V2に通過し、ドリッピングが無い場合にはUL94-V0となる。すなわち、UL94-V0を通過するためにはドリッピングを抑えなければならないが、高度な技術が要求される。
よく知られている技術として、PTFEなどのフッ素系樹脂を添加する方法がある。またドリッピングを抑制するための繊維状のフッ素樹脂なども市販されている。1%程度の添加で効果がありうまくゆく場合には感動するぐらいの効果がある。樹脂燃焼時に燃焼面で薄膜を形成し、溶融物を抑えているようだが、ドリッピングが多いときには、大きな火の玉に成長する。
すなわちフッ素系樹脂の添加だけではドリッピング抑制が難しい場合がある。このような場合には炭化促進を促す対策が必要で、リン系難燃剤の増量や炭化しやすい樹脂を20%以上添加するなどの処方変更が必要になる。
そのほかにドリッピングを防止する方法があるのかというと、1%程度の添加で効果があるのはフッ素系樹脂ぐらいで、溶融時の樹脂粘度を上げたりする対策では、5%以上の何らかの添加剤が必要になる。すなわち、ドリッピング防止をフッ素系樹脂以外の方法で行う場合には、樹脂の処方の見直しが必要になる。
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カテゴリー : 高分子
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