2012.12/21 射出成形技術
射出成形技術の研究者として著名ななH先生は「どんな樹脂でも射出成形できる技術の確立が射出成形技術の目標だ」と言われました。それに対して樹脂のコンパウンディングの目標は、というと明確に表現できる専門家はいないように思います。少なくとも樹脂メーカーのエンジニアにこのような問いかけをしても品質の安定性という当たり前の回答しか返ってこない。
コンパウンディングの技術目標はどうあるべきか。樹脂の品質の安定性は一般に樹脂製品のスペックの偏差が工程内で小さいことを意味し、多くの場合、工程とはコンパウンディング工程だけを考えています。しかし樹脂は成形加工されて初めて実用になるので、「射出成形前後で樹脂が変化していないこと」は重要な目標の一つだと思います。
しかし分析していただけばご理解いただけますが、この目標は簡単なようで大変難しい目標です。特にポリマーアロイでは通常使用されている混練工程ではこの目標を達成できません。一成分の高分子の樹脂でも自由体積の量を射出成形前後で測定すると変化しています。複雑形状の射出成形体であれば、成形体の各部で自由体積の量が変化しています。
カオス混合は究極の混練技術と古くから言われており、その達成手段が検討されてきました。実はもちつきやパイ生地の製造プロセスがカオス混合に似ているのですが、これを樹脂の混練工程で実現するのはいままで困難でした。しかしカオス混合に極めて近い効果を発揮する混練技術が開発されました。
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カテゴリー : 高分子
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