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2012.12/23 靱性

材料の脆さとか割れやすさの程度を表す物性を靱性と言います。K1cというパラメーターですが、この靱性という値が良くわからない、という材料系の人が多い。測定方法は、K1cを直接計測すればよいのだが、実際にはMITとかアイゾット衝撃試験の方法で計測されている。用途あるいは材料の形態に合わせて脆さを知る方法を選択している、と言ってもよい状況です。

 

簡便に知りたいならば、硬度試験に用いるダイヤモンド圧子で圧痕をつけてみる方法もよい。材料の脆さの比較程度はできます。ただしこの方法は靱性の大きな材料では用いることができない。他の方法でも靱性が大きくなるとその測定値は怪しくなる。唯一K1cだけが靱性の小さなものから大きなものまで計測できるパラメータのように思っています。思っています、と書きましたのはK1cですら怪しいと言われる方もいらっしゃいます。

 

靱性というパラメーターはこのように評価が難しいパラメーターですが、物性値として重要です。しかし物質固有のパラメーターかというと、材料の加工の履歴も反映されてくるので融点とかTgなどのようなパラメーターとかなり異なります。Tgに関しては物性値が存在しない材料、すなわちガラス以外の非晶質材料も存在するが、靱性はすべての材料で計測されるので重要だ、という意見もあるかもしれませんが、材料固有という意味で靱性をとらえることはできません。例えばその材料の結晶状態と非晶状態では靱性は変化します。

 

靱性は物性値として評価方法も材料の制御方法も難しいパラメーターですが、材料を実用化するときには重要なパラメーターになります。おそらく実務の中でうまく伝承すべきパラメーターなのでしょう。

 

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カテゴリー : 高分子

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