2012.12/29 コーティングプロセスのコスト
コーティングのプロセスコストについて質問を受けました。コーティングプロセスはハイテクというイメージからのようです。申し訳ないが製造条件のデータが無ければ答えられない、と回答しました。実際に平方メートルあたり1円以下から10万円以上までピンからキリまであります。生産量と生産設備の関係で決まるのは、混練や射出成形などのローテクと思われている技術と同様です。
おおよその設備金額は当方もわかりますので、問題は生産量となります。生産量が少ない場合には外部に委託したほうが有利なのは、他の製品と同じです。委託費用も生産量で大きく変わります。コーティングの世界は設備が高価なので可能な限り老舗に頼んだ方が安くなります。フィルムならば平米あたり2円以下で出来る場合もあります。
すでにアナログ銀塩写真フィルムの市場は縮小し、現在2社しか生産していませんが、写真フィルムでさえもプロセスコストの占める割合は少なく大半が材料費です。大変付加価値の高い商品だったわけです。ゆえに某フィルム会社は往年の大スター2人を起用したCMを派手に展開できる資金力があるのです。ちなみにカラー写真フィルムの場合には10層前後の多層同時塗布技術など高度な技術を用いて乳剤層をたった1回で塗布する技術によりコストダウンを達成しています。
技術開発には製品の付加価値を向上するための技術とコストダウンするための技術開発があり、後者も結果として付加価値を上げているのですが、技術開発センスは少し異なるものが要求されます。両方経験してみると理解できますが、技術者としてのスタートをコストダウンの技術開発を重視する会社で働けましたのは幸運でした。市場が拡大すればどのような商品でもコモディティー化するのは宿命ですので、商品開発の初めからコストダウンを前提としたプロセス開発が重要になります。それにはノウハウが必要です。
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カテゴリー : 高分子
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