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2013.01/05 樹脂の靱性

射出成形や押出成形、あるいはブロー成形において使用される樹脂には、耐候剤や難燃剤などの添加剤が必ず添加される。また導電性や熱伝導性を上げるために無機フィラーを添加する場合もある。

 

こうした添加剤の影響で樹脂本来の性質は変化する。樹脂がポリマーアロイであっても同様である。ポリマーアロイの場合には相分離構造も影響を受ける場合も出てくるので単一組成の場合よりも複雑になる。

 

添加剤による物性変化で見落としやすいのが靱性のわずかな変化である。たとえばアイゾットやシャルピーなどの衝撃試験を行い、規格値に入れば安心する。衝撃試験などはばらつきが大きい試験なので、多少平均値が下がっていても規格値内ならば問題としない場合が多い。

 

しかし同一条件で成形体を製造したのに物性が変化するのは、何か原因があり、その原因を明らかにしておかなければならない。樹脂を自社で成形している場合には問題が起きる確率は低くなるが、コンパウンディングした会社から外へ出た瞬間に問題が起きる確率が高くなる。

 

靱性は把握しにくいパラメーターではあるが、他の力学物性の動きと組み合わせてみるとおおよその理解ができる。例えば靱性が低下した場合には、強度も低下しているはずである。SSカーブには強度低下に対する靱性の効果の情報が表れている。しかし靱性が低下しているのに強度が上がっている場合がある。多くは弾性率が変化している。問題は弾性率がどうして変化したのか、という原因である。

 

添加剤による靱性のわずかな変化は、ばらつきの中に隠れてしまうことが多いが、お客様のところで大きな変化となって現れることがある。実験室で原因を把握しておかなければ、致命傷となる場合もある。ばらつきの大きい評価方法しか知られていないので注意が必要である。

 

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カテゴリー : 高分子

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