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2013.01/19 高分子の高次構造の設計

原子が共有結合でつながり、分子となり、分子の分子量が共有結合でつながって大きくなり高分子となります。この高分子が集まってナノオーダーからミクロンオーダーさらには目で見えるレベルまでの構造ができると、それを高次構造と呼んでいます。共有結合でつながっている分子を一次構造と呼んでいますが、その上は二次構造三次構造と言わずにいきなり高次構造と呼んでいます。DNAような二重らせんを二次構造と呼ぶ人もいますが、高分子材料の専門家の多くは、一次構造の次は高次構造と大雑把にまとめてしまっています。

 

ナノテクノロジーが注目され始めたころから少し細かい構造だけに絞って研究する流れができ、メソフェーズ領域という言葉が出てきました。40年近く前に、炭素間の共有結合だけでできた分子を高分子と呼んでいたのを、炭素間の共有結合以外に、例えばSiO結合や、PN結合などの少しイオン結合性を含んでいる高分子を無機高分子と呼び、高分子の概念を広げた効果と同じように高次構造の研究手法や新材料の生み出されるスピードが上がりました。

 

コンセプトが変わると研究の視点が変化し新しい分野が広がるためでしょう。高分子の高次構造の設計をするために利用できる情報が豊富になりました。ただ残念なことにプロセシングが追いついていません。量産技術ができなければ材料を工業製品に応用することができません。実験室レベルでメソフェーズ構造を自由に制御できても、大規模なスケールでそれができなければ商業生産できません。

 

プロセシングの問題以外に高分子の一次構造の制御を大スケールで完璧にできていない問題も大切ではないかと思うようになりました。分子設計技術は20世紀かなり進歩し、その結果多くのスペシャリティーポリマーが登場しました。しかし、よく現象を観察してみますと、まだまだ分子の構造制御が十分できていないところが見えてきます。プロセシング技術が遅れているために目立っていませんが、プロセシング技術が進歩した後パーフェクトポリマーを要求される時代が来るのではないかと思います。

カテゴリー : 高分子

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