2013.01/23 弊社の問題解決法について<6>
「殺人処方箋」という第一回のドラマを題材に刑事コロンボの「考える技術」を見てゆきます。まず、倒叙探偵小説の定型で最初に殺人事件のミニドラマから始まります。第一回ということで、犯人に刑事コロンボのキャラクター解説をさせるためでしょうか、犯人は精神分析医フレミングです。彼には神経症で野心家の若い女優ハドソンという愛人がいて、夫婦仲は破綻し離婚訴訟を妻は準備していました。
精神分析医フレミングは、訴訟を起こされる前に妻を殺す目的で夫婦和解旅行計画を立て、アリバイ工作のため女優ハドソンに妻の身代わりになる段取りを説明して協力させます。女優ハドソンは精神的に弱く精神分析医フレミングの指示に従い、空港まで妻の身代わりとして精神分析医フレミングに寄り添い、飛行機に搭乗し突然夫婦喧嘩を始め怒って飛行機を降りてしまいます。精神分析医フレミングは、あらかじめ空港に行く直前に自宅で妻を後ろから絞殺していますから、飛行機が飛び立ったあと精神分析医フレミングはアリバイ工作が成功して完全犯罪を確信します。ここまでが殺人事件のドラマのあらすじですが、殺人方法から犯人並びに共犯者のキャラクターの説明に至るまで、ここまででもドラマとして成立するくらいの細かい描写です。
精神分析医フレミングが自宅に帰ってきたところで、家宅捜索中の殺人課の刑事コロンボと出くわします。この時点で、刑事コロンボは精神科医フレミングの帰宅時の挙動に幾つか疑問を持ち、刑事の勘で真犯人ではないかと疑います。すなわち、ここで用いている「考える技術」は、観察力と過去の経験に裏付けられた勘です。
刑事コロンボがこの段階でフレミングに対し真犯人という疑いを持ったことは、ドラマの後半部分で事件から担当を外されたことを彼に告げるシーンにおいて、「刑事は年に100回殺人事件を見てるんだ。しかし真犯人はたった1回の経験だから必ずどこかにミスがあるはずだ」と、語りフレミングを初めから疑っていたことを告げています。
このドラマの最初のシーンでは、フレミング夫人がまだ生きている設定ですが、その後フレミング夫人は意識が回復することなく病院で亡くなり、大切な証人が死んでしまいます。そして、ここから精神科医フレミングと刑事コロンボの戦いが始まります。
刑事コロンボは執拗に精神科医フレミングを追い込みますが、アリバイを崩せないどころか証拠も見つかりません。視聴者も刑事コロンボも真犯人が分かっている状態ですが、証拠がないために真犯人を逮捕できないじれったさで盛り上がり、物語の第一の山場を迎えます。
(明日へ続く)
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