2013.01/25 弊社の問題解決法について<8>
刑事コロンボは、そのほかに「5時30分の目撃者」では「対偶の関係は真である」という「考える技術」を用いています。すなわち、このドラマの事件では殺人事件の犯人である精神科医コリア―が車で逃げる時に門扉へ車をぶつけ、たまたま盲導犬と歩いていた盲目のモリスと遭遇しますが、このシーンが犯人を追いつめる決め手となっています。
刑事コロンボは、「目撃者が盲目ならば、事件の目撃者になれない」という推論の対偶である「事件の目撃者になれるならば、目撃者は盲目ではない」を考え、モリスの兄デイビットを目撃者にしたて、精神科医コリア―に紹介します。精神科医コリア―は、目撃者は盲目だったはずだ、と証言し、その場で逮捕されます。
事件の唯一の目撃者が盲目だったために刑事コロンボがどのように犯人を追いつめる証拠とするのかが、このドラマでの見どころになっています。犯人を目撃者として使う逆転の発想は、対偶を用いる「考える技術」以外に、常に犯人(結論)から事件を見ようとする刑事コロンボの思考方法のなせる業だと思います。
余談ですが、「忘れられたスター」では、刑事コロンボは犯人を追いつめながら真犯人を逮捕をしていません。犯人の女優グレースが脳に手術不可能な動脈瘤ができており、余命いくばくもない記憶を失う病気になっていたからです。状況証拠では、女優グレースが犯人であることは明確なのですが、すでに犯罪の記憶が無くなっており、それに気がついたコロンボは、女優グレースを愛していた演出家ダイアモンドの提案を受け入れ、彼を誤認逮捕承知で連行します。ここで示した刑事コロンボの情は、常に犯人の位置から事件を見る刑事コロンボならではの味と思います。
(明日へ続く)
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