2013.02/01 弊社の問題解決法について<15>
解く力を磨くために問題設定のコツをもう少し考えてみます。
問題は、あるべき姿と現実との乖離で生じますが、「何が問題か」を考えるためには、あるべき姿と現実に関する具体的に整理された知識や情報が必要です。もし、これらの知識や情報が、問題を考えようとしている時に手元に無いならば、それが一番の問題となります。さらに問題の答であり問題解決のゴールに相当するあるべき姿については、数値化できるぐらい具体的に整理されていることが好ましい状態です。あるべき姿が抽象的であると、問題は抽象化され問題認識の違いを生み出すだけでなく、あるべき姿があっても問題解決できない場合も出てきます。
情報技術の進歩や遠藤功氏の「見える化」ブームで現実の整理は、日常業務として行われるようになりましたが、社是やビジョンなどの抽象的なあるべき姿を担当している職務に合わせて細部まで具体化しているケースは少ないようです。もしあるべき姿の情報整理と十分な具体化ができていないと思われるならば、最初にできる限り具体的な表現であるべき姿を作成してください。
ところで、あるべき姿を求める方法として、現状を分析し問題点を見つけ出し云々、あるいは問題を分析し云々などと説明している問題解決法もありますが、あるべき姿とは、問題から導き出すものではなく、問題解決をしようとする当事者が、何が問題かを見出すために具体化するものです。
例えば、事業における「あるべき姿」であれば、会社の事業と顧客の関係から決めることができます。個人の問題であれば、個人の人生観や価値観などから「あるべき姿」を決められます。その他国の問題であれ、地域の問題であれ、大切なことは、その問題が解決されたときに効果や影響力が及ぶ社会の「あるべき姿」について、問題解決しようとする人が具体的に整理し明確に決めることが大切です。
「あるべき姿」の情報整理と具体化には、日科技連の新QC七つ道具を使うことができます。親和図法や連関図法、系統図法で情報を整理するとわかりやすくなります。マトリックス図法も有効かもしれません。
製品開発の現場で発生する技術的問題では、製品の仕様書が「あるべき姿」の代用になります。製品を組み立てる各部品について、担当部署へ製品仕様書を提示し、各部品の「あるべき姿」をそれぞれ確認する作業が必要かもしれません。また、初めてのプロジェクトであり諸々の環境が整っていない時などは、ドラッカーの指摘を参考にして、各人の認識が同じと思われる「われわれの事業は何か」あるいは「われわれの事業は何になるか」、「われわれの事業は何であるべきか」などを改めて問いなおすところから始める必要があるかもしれません。
「あるべき姿」と「現実」の乖離が「問題」になりますが、「あるべき姿」が具体化されますと「現実」が整理されていなくてもこれまでの経験から問題が具体的に見えてきます。問題解決の必要があるときには、「あるべき姿」と「現実」の乖離が大きい時ですから、「現実」の整理が必要無いと感じるくらいに、「問題」が具体化されます。しかしそのような時でも「現実」の具体化と整理は必要です。
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