2013.02/12 難燃剤とOCTA
樹脂を難燃化するときに一般的な手法は難燃剤を添加する方法です。難燃剤には(1)樹脂に相溶して分散する難燃剤、(2)相分離し分散する難燃剤、(3)固体として分散する難燃剤の3種類があり、それぞれ効果が異なる。
同一分子構造の難燃剤で比較することは難しいが、軟質ポリウレタンで実験を行った結果では、予想通りP基準の添加量の順番は(1)<(2)<=(3)である。リンの含有率対LOIのグラフで考察すると、赤燐の形態すなわち(3)で添加した場合には、3-4割ほど(1)の場合よりも多く添加しなければならなかった。しかし、赤燐粒子は9割以上がリンなので全体の添加量は少なくなるが。
興味深い結果となったのは(2)と(3)である。(3)と等しくなる場合もあれば(1)と1割前後の差しか生じない場合があった。(2)でも樹脂へ一部相溶して分散していると考えればこの結果を容易に理解できる。しかし(1)と(2)に差が生じるならば難燃剤と樹脂の相互作用を考慮し、難燃剤の選択をしなければならない。
ポリマーブレンドの場合にはさらに複雑な結果が予想されるが、OCTAを使用すると最適な難燃剤を選択することができる。SP値だけでもおおよその比較はできるが、温度依存性や各相への分配を考えるとなるとSUSHIが便利である。
たった1割前後の節約のためにコンピューターシミュレーションまで持ち出すのか、と思われる方もいるかもしれませんが、難燃剤のコストを考えると1割の節約効果は大きい。高価なエンプラならば難燃剤のコストへの影響は小さいが、kgあたり200-300円程度の樹脂の場合には、半日程度かけてシミュレーションを行うだけの価値はあります。
カテゴリー : 高分子
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