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2013.02/14 弊社の問題解決法について<28>

 K0チャートが作成されましたら、各K0ポイントごとに、K1チャートを作成します。K1チャートとは課題を実行するアクションとその成否を新QC七つ道具のPDPC図のようにゴールに向けて進行状況を見える化したものです。

 

 すなわち、ある課題を解決するためにアクションを実行しますと必ずアクションについて成功か失敗かという二つの事象の内どちらかの結果が出ます。通常アクションプランを考える時にはアクションが成功することを前提に計画表へ記入し、判断が必要なところで分岐点を設けるように計画表を作成しますが、K1チャートにつきましては、すべてのアクションについて、その結果の成否を記入するようにします。失敗する可能性が極めて低いときでも失敗の事象を記入します。

 

こうすることで、福島原発の事故でよく言われた想定外という言い訳が無くなります。すなわち、とるべきアクションについて成功と失敗の両事象を事前に考えていますから、不測の事態に迅速に対応できます。また、この方法はアクションの結果をすべて考えていることになりますので、アイデア漏れを防ぐ手段にもなっています。

 

それでは具体的な手順を以下に示します。

 ①各K0ポイントのゴールを確認する。K0ポイントが一つの場合には、そのゴールと「あるべき姿」とは一致する。

 ②K0ポイントに存在する課題を確認する。この作業では、問題の構造を表した系統図を用います。系統図に示された課題の中で、優先順位の高い課題、すなわち最初にやり終えなければならない課題を選択する。系統図は階層構造を表現しておりますので優先順位の高い課題を決めるのは難しくありません。系統図を作成せずにK0チャートを作成した場合には、この段階で課題を考えてください。

①  ②のプロセスで求めた課題について、知識ベースで達成手段すなわちアクションを

書き上げる。それぞれのアクションにおいて、それが成功した事象と、失敗した事象に分け、それぞれについて、次のアクションを考える。このアクションを考える場合には、必ず何か記入すること。具体的なアクションが無くなれば、その時点で失敗と記入する。アクションを思いつかないだけであれば“?”を記入する。

④  ③の作業において、アクションを起こした結果、問題の構造の系統図に示されている課題が発生したならば、アクションの結果に課題を書き入れる。そして次のアクションについては、この課題に対するアクションを考えることになる。

⑤  ④の作業において、アクションを起こした結果、問題の構造の系統図に示されていない新たな課題が見えてくることもあります。その時はアクションの結果に新たに見えた課題を書き入れる。そして次のアクションについては、この課題に対するアクションを考えることになる。

①  ③から⑤をゴールに到達するまで繰り返す。

 このゴールとは各K0ポイントのゴールのことですが、少なくとも一つはあるべき姿と一致します。

 

このK1チャートを作成するときのコツは、推論の性質をうまく使うことです。慣れてくれば、推論の性質を用いなくとも、K0チャート作成までの段階でK1チャートの様子が見えてくるようになります。問題の構造を系統図で表現するプロセスにおいて、ゴールである「あるべき姿」から逆向きの推論により課題を追加する場合があったなら、その時にK1チャートの全体像が見えたかもしれません。

 

本問題解決法に慣れますと、問題設定後すぐにK1チャートを作成することができるようになります。ここではK1チャートの意味を理解しやすいように前向きの推論を使用する方法で説明いたしましたが、「あるべき姿」から逆向きの推論で作り上げると必要なアクションが前向きの推論よりも少なくなります。K1チャートは逆向きの推論で作成するのが本来の姿ですが、逆向きの推論に慣れていない時にはK1チャート作成に時間がかかるようです。もし読者が逆向きの推論を日常使用してきたならば、K1チャートは逆向きの推論で作成してください。次の章で山中博士の研究を用いてK1チャートを後ろ向きで作成するとアクションが少なくなることを示します。

 

プロジェクトの成功体験を重ねるにつれ、K0チャートやK1チャートのパターンができてきます。また、K0チャートからK1チャートを作成する作業も、パターン化され、いわゆる問題解決の必勝パターンというものができます。研究開発において技術を伝承する時に、この問題解決の必勝パターンを伝承するのも良い方法です。

 

この問題解決法の長所は、ここまでの手順において、あるべき姿から問題を見直す作業が何度も出てきます。あるべき姿を具体化する作業と同様に、この作業はこの問題解決法の特徴で、問題解決案を得るために問題を詳細に分析する従来の問題解決法と異なる点です。

 

この問題解決法では、問題解決の道筋を重視し、問題の理解については、何度もあるべき姿を参照することで深めていきます。そして、このステップで作成するK1チャートは、問題解決の道筋を具体的なアクションで表現するためのものです。

 

 複数のK0ポイントがある場合も同様ですが、K0ポイントが一つの場合との違いは、各K0ポイントのゴールを具体的に決める作業をしなければいけない点です。

 

    <明日へ続く>

カテゴリー : 連載

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