2013.02/18 未来技術
3.11で世の中は大きく変わりました。とりわけ原子力エネルギーに対する考え方は、180度の変化です。国民のだれもが未完成の技術で商用運転を行っていた実態を知ってしまいました。福島原発の事故は、天災で始まっていますが、事故の状況について報じられた内容を見る限り、商用運転してはいけない技術でした。
現在販売されている家電製品のマニュアルを見ていただけばわかりますが、注意書きには起こりえないことまで想定された注意が書かれています。しかし、原発の事故対策は発生確率で低い場合には対策を行わない、という考え方で設計されていたのです。また事故後の対応においても、電源車との接続において、コネクターが合わず電源供給できなかった、とか、ベントにフィルターがついていなかった、とか、およそ商用運転されている商品として怪しい状況が報じられています。さらに、いまだに使用後の燃料棒の処分方法が決まっていない、というありさまです。家電のように家電リサイクル法で商品そのもののリサイクルが義務づけられている時代に、原料の処分法すら決まっていないのです。原発を商品として見た場合に、再稼働を議論するときには、実験運転を行うという前提で議論する必要があります。
原発がこのような調子ですから、未来技術としてエネルギー関連技術が花形産業を生み出す、と考えました。すでに太陽光発電や風力発電が立ち上がっていますが、ごみ発電技術は経済的に可能性が無いのでしょうか。かつて名古屋市長がゴミの分別回収で政府に苦言を呈したことがありました。細かい分別回収をしてきたのにそれが無駄になったからで、さっそく名古屋で有識者が集められてゴミのリサイクルではどの方法が良いのか議論されました。その結果サーマルリサイクルが最も良い、との結論でした。熱エネルギーとして取り出せるならば発電は容易です。
ごみ以外の燃料では、ジャトロワや藻、チップなどのバイオエネルギーの経済的生産技術が立ち上がる可能性が見えています。藻の場合には、ガスタービンを工夫して藻をそのまま燃焼できる技術を開発すれば最も経済的に発電ができます。光合成で藻を育てるのは琵琶湖のような湖を使うことができます。藻の繁殖力と藻の回収速度をバランスさせればよいわけです。藻と水の分離では、熱エネルギーを使うのではなくフィルターワークで十分です。
集中発電の方法以外に分散発電技術も出てきました。エネファームなどの燃料電池で、ガスの供給ラインを使って発電するシステムです。電気代が高騰していますから、経済的に十分釣り合うようになってきました。また、スマートグリッドへの移行も可能です。太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電など様々な発電技術に可能性が出てきました。このような分散発電では蓄電池が重要になってきます。また高電圧を制御する必要から、パワートランジスタのニーズが高まります。
電気自動車のような移動体に電気を供給するシステムの開発も重要です。わざわざコネクターをつないで電気供給する方法では利便性が悪いです。また高速充電システムも必要になってきます。電気の供給であれば無人化も可能で、ちょっとしたスペースがあれば電気を供給できるような、それこそ駐車場のどこでも駐車中に電気供給できるようなインフラにすれば一気に電気自動車が普及するように思います。新しい電気電子デバイス以外に膜技術も重要です。従来の熱エネルギーを用いた分離方法から膜分離へ移行する可能性があります。膜分離技術は省エネ技術です。
家庭内の創エネ技術も太陽光発電以外に登場する可能性があります。家庭内には発熱製品や振動製品がたくさんあります。そのような発熱媒体や振動媒体から電気を回収するシステムです。コストが問題になりますが、材料技術が進歩すればぺロブスカイト系の材料で経済的な熱電変換素子ができるように思います。
こうしたエネルギー関連の未来技術はまだまだたくさんあり、具体的なアイデアもあります。これらを公開する企画を考えていますが、事前に情報を入手したい方はご連絡ください。
pagetop