2013.03/18 帯電防止技術と電子写真システム
商品の帯電防止は難しい。導電性を向上させれば帯電を防げるのかというとそうではない。金属でも帯電するからである。すなわち静電気は電気をためる条件が揃うとそこに滞留する現象で、導電性を上げた場合には他の物質の静電気をもらう現象が生じる。ライデン瓶は、導体がガラス瓶の表面に塗られていることにより電気を貯めることができる。
帯電防止を行うには、表面比抵抗を10の6乗から10の11乗までの半導体領域に設計するのが経験的に好ましいとされる。研究結果によればインピーダンスの値で設計した方が実際の静電気故障とよく対応する。この結果は研究報告が少ないので特許ネタに使える。どのようにインピーダンスを測定したかにも依存し、それが特許のクレーム表現として使える。単なるパラメータ特許は成立しにくいが一ひねりすると商品に合わせた面白い特許になる。実際には科学的に同じ技術であっても、科学的な証拠が無いためにできる特許の権利書という側面を活用するネタである。
帯電防止技術に近い商品として電子写真システムがあるが、面白いのは電子写真システムに科学的に説明できない部分が未だに存在する点である。原理が説明できているから科学的に完成された商品、と思っている方も多い。しかし科学的に完璧に説明された商品であれば、教科書にもとづき製品設計を行うことができるはずだが、それができないのである。未だに経験に基づく部分が残っており、怪しい特許を量産できる分野となっている。
同じ画像形成システムであるが、後発のインクジェット(IJ)プリンターが普及したのは電子写真システムよりも機構が単純で科学的に解明しやすくコストダウンが容易だったためである。しかし、科学的にIJプリンターの限界が見えており、電子写真システムが今後も残っていく可能性が高いと思われる。電子写真プリンターの便利なところは、どのような紙に印刷しても同等品質が得られる点で、この長所は未だに他の方式がまねできないところである。
電子写真システムの科学的な解明が進まない点は、画像形成に使用するトナーを静電気で紙に転写している、電子写真のキモの部分である。大雑把には帯電防止技術と同様に半導体領域の材料でエンジン部分は設計されるが、その導電性と画質との関係は未だ経験の必要な世界である。
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