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2013.03/30 パワーマネジメントシステム

昨日の記事及び過去の記事に関して問い合わせを頂いた。当方の業務にも関わるので詳細は省略するが、一口に言えば理想的な蓄電池のパワーマネジメントシステムとは何か、という質問である。この回答は蓄電池にやさしいパワーマネジメントシステムとなる。

 

蓄電池にやさしい、とは蓄電池に負荷をかけない、とか蓄電池を痛めないという意味である。例えば蓄電池は過充電あるいは通電し続けると劣化を早める。初期のLi二次電池は、インタカレーションタイプであり過充電に強い、と言われたが、それでも過充電を繰り返したなら劣化は早まる。

 

昨日のPC用蓄電池が膨らむ問題は原因が不明だが、店員からPCを100V電源につなぎぱなしにしたために膨らんだ、と教えて頂いたから、恐らく同様のクレームが多いのだろうと思う。また、そのような場合に充電を行わない、という仕組みが、リンゴのマークのPCに備わっていないのだろうと思った。専門店の店員の言葉なので、メーカーからのマニュアルがある可能性も高い。もしそうならば、何らかの理由でパワーマネジメントシステムに手抜きをしているのだろう。

 

蓄電池一つのセルの放電電圧は、充電されたLiイオン二次電池であれば3V-3.5Vなので、CPUを駆動する6Vとか12Vの電圧が必要ならば2つ以上のセルを組み合わさなければならない。もし家庭用の100Vのバックアップ電源として使用するならばさらに多くのセルが必要になる。

 

蓄電池それぞれに性能ばらつきがあるものを複数個重ねて使用するのでセル一つ一つを管理する仕組みが必要になる。すなわち蓄電デバイスの信頼性は、蓄電池一つの信頼性で決まらず、パワーマネジメントシステムととの組み合わせで決まる。

 

製品寿命の予測には最弱リングモデルから導かれたワイブル統計がよく用いられる。最近の蓄電池の信頼性データを持っていないので間違っているかもしれないが、仮に蓄電池を10個直列につないだデバイスを1セルずつ管理するパワーマネジメントシステムがある場合と無い場合とで寿命比較をしたならば10倍以上寿命に差が出るのではないか。

 

手元にパナソニック製の軽量ノートパソコンがある。8年前S社の軽量ノートパソコンが2年もしないうちに電池がだめになったので買い換えた製品だが、このパナソニックの製品は未だに電池は健在で、2時間以上100V電源無しで使用可能である。今時8年間も同じPCを使う人はいないと思うが、講演で持ち歩くのに重宝している。パワーポイントのバージョンがデスクトップPCと2世代異なっている点が不便なだけであるが、電池が壊れるまで使い続けたいと思っている。

 

消費者は実験のために複数同じ製品を購入することは極めて稀である。1台購入しそれがダメならば100%だめ、と判断するし、当たりの製品の場合には信頼性100%になる。このような心理的な影響はあるが、60年間の人生の記憶でも松下製やナショナル製、パナソニック製のテレビや冷蔵庫、電球の信頼性に対する印象は良い。

 

話がそれたが、蓄電デバイスの寿命を決めるのは、蓄電池の信頼性と同様にパワーマネジメントシステムの出来映えにも大きく依存する。蓄電池のパワーマネジメントシステムの重要性を知ったのは、ニコン製のカメラD2HをD3に買い換えたときである。充電器にキャリブレーション機能がついたのと、カメラ本体が電池の劣化度を示してくれる。さらにD2Hで派手に連射をしたときに電池が熱くなったが、D3ではそれが無くなった。特許を調べてみて電池よりもそちらのシステム開発の重要性を認識した次第。まだ技術革新の余地がある分野である。

カテゴリー : 電気/電子材料

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