2013.04/03 高分子材料開発の傾向
持続的な社会実現へ向けて1990年から2000年にかけて環境に関係する各種法律が整備された。当時高分子同友会でも次々と立法化される法律で高分子事業がどのように影響を受けるのか議論された。それから10年以上経過し、明らかになってきたことは、材料のコモディティー化が進むともともにリサイクルしやすいように使用される高分子材料の標準化が進んできたように思われる。
例えばテレビやパソコンの外装材には、ABSあるいは高級外装としてPC/ABSが主に使用されてきている。また、PSやPPも多く使用される材料である。すなわち靱性が要求される分野にはABS系が、高い靱性が要求されない分野にはPSが、弾性率が多少低くても、あるいは弾性率が低いところにはPPといった傾向である。
このような標準化の流れ以外にポリ乳酸を一部に使用した環境材料も普及してきた。しかし、ポリ乳酸を使用した材料は、まだ高価であり、スペシャリティー材料の仲間である。ポリ乳酸がさらに普及するかどうかは価格に依存している。
一方で機能性材料についても傾向が出てきた。直鎖状PPSの普及である。10年ほど前のPPSは、分子量が低く、射出成形材料以外に用途は無かったが、押出成形によるフィルム材料に使用可能なPPSも普及期に入った。絶縁テープなどで見かけるようになった。またカラー複写機やレーザープリンターには中間転写ベルトが使用されているが、このベルト材料についてもPPSの使用が広がっている。
その他のスペシャリティーポリマーの動向については、それぞれ単独で取り上げてみたい。
カテゴリー : 高分子
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