2013.04/18 カラーレーザープリンター
カラーレーザープリンターの画像形成は次のようなプロセスで行われる。レーザーで感光体上に情報を書き込むと、感光体上には情報が帯電した状態として記録される。そこへトナーが静電気力で付着し画像が形成される。そのトナーを今度は中間転写ベルトへ画像が崩れないように静電気力で転写する。これをYMCKの4色行い、カラー画像が中間転写ベルト上に形成される。この中間転写ベルト上に形成された画像を紙へ転写する。このときにも静電気力が使用される。紙へ静電気で付着したトナーは最後に定着プロセスで加熱され、トナーは溶融し紙に定着される。
すなわちカラーレーザープリンターの情報書き込み機構で静電気は重要な役割を担っており、エンジンの各部品は、すべて導電性が精密に制御された半導体部品が使用される。特に中間転写ベルトの面内における抵抗偏差は1桁未満で設計され、高級機ではそれが0.5桁未満となる。中間転写ベルトの段階で紙へ直接書き込む方式もあるが、その場合でも導電性が制御された半導体ベルトが紙の搬送用に使用される。但しカラープリンターの高級機には、中間転写ベルトが使用されている。
カラーレーザープリンターで画像が紙に転写され、定着されるまでを初めて1段階ずつ見たときには感動した。コンピューターで情報を送りレーザープリンターで印刷される様子を30年近く見てきて、当たり前と考えていたことが、一段階づつ各部品の仕事ぶりを見た時に大変新鮮であった。レーザープリンターの仕組みを30年前に本で読んで知っていたにもかかわらず、技術開発の余地が未だに残されていることに気がつきうれしく感じた。
静電気力でトナーを転写しているだけ、という単純な工程ではあるが、フィルムの帯電防止で苦労してきた経験があったので、美しい画像出力を出す技術を100点満点のレベルで完成することは容易でないことはすぐにわかった。また、その理解は、ライバル会社も含め開発に関わる技術者が正しくその機構を理解しプリンターを設計しているのか、という疑問に変わった。おそらく開発の最後には気合いで造り込んでいるのであろう、と思われる部分が他社品解析をしていると出てくる。レーザープリンターは科学の塊のように思っていたが、静電気でトナーが搬送される各ステップを観察すると気合いの塊のような装置に見えてくる。
科学ですべて解析でき、設計通りにできあがる装置は、今の時代資本があればどこでも作ることができる。しかし、ノウハウが無ければ製造できない製品は、その会社を丸ごと買収するか技術者を数人引き抜くかしなければ作ることができない。レーザープリンターもそのような製品の一つである。静電気の性質を理解するとその難しさが見えてくる。
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