2013.05/10 ミドリムシプラスチックは光学用樹脂の本命!か。
昨日高分子同友会の講演会で産総研芝上先生のミドリムシプラスチックの研究成果を拝聴させて頂きま した。講演の中では詳しい説明が無かったのですが、プラスチックの物性と実際の射出成形体を見せて 頂いて驚きました。光学用樹脂の本命になるポテンシャルを秘めていたのです。コストの議論が出まし たが、現在市販されている光学用樹脂の値段を出席者の皆さんご存じないためでしょうか、射出成形体 を見て感動したのは私だけだったようです。
ミドリムシプラスチックはまだ市販されていません。しかし、光学用樹脂として液晶用フィルムに使用 されているTACと同様のプロセスで樹脂を製造でき、さらに精製しなくとも良い点はTACよりも優れてい ます。すなわちセルロースの精製で問題になるアルデヒド類が出ないので、量産すればTACよりも安価に なる可能性を秘めています。講演の中ではこれからの樹脂として紹介されていましたが、ミドリムシの量 産に目処がつけば、TACの合成プロセスを使って理想的な光学用樹脂を製造できます。既存のアペルやゼオ ネックスと同じレベルの価格で。 (ミドリムシは汚水と光を与えれば容易に増える!小学生の時、近くの畑の肥だめのプランクトンを顕微 鏡で見たら大半がミドリムシだった。今時糞で培養はさすがに難しいでしょうが、ブタや牛の屎尿処理と 火力発電のCO2利用と組み合わせれば環境技術になる!)。
ちなみにTgが高い非晶質樹脂もできており、光学用ポリオレフィン樹脂のカタログに記載されているTgと 同等以上の耐熱性です。光学用ポリオレフィン樹脂では、あまり知られていませんが80-90℃前後に 隠れているTgが存在し、見かけの耐熱性がこのTgで制限を受けます。
しかし一次構造から推定してもミドリムシプラスチックにはそのような隠れたTgは存在しないので、光学 用ポリオレフィン樹脂よりも実際の耐熱性が高くなります。さらに、光学用ポリオエフィン樹脂は結晶化 する可能性が存在しますが、ミドリムシプラスチックはアセチル化を工夫すれば(実際には工夫しなくて もできていたが)完全非晶質プラスチックも容易にできます。
汎用樹脂でミドリムシプラスチックを捉えたならば、ポリエチレンやポリスチレンとの比較になりますが、 光学用樹脂として捉えた場合には、光学用ポリオレフィン樹脂が比較対象になります。ご興味のある方は 弊社へお問い合わせください。
(本日は予定を変更して講演会の報告とさせて頂きました)
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