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2013.07/27 科学と技術(6)

技術とは機能を実現する行為あるいは手段だと思う。

 

福島原発の事故の状況は、技術とは何か、科学とは何かを考えさせてくれる。そもそも原子力発電は20世紀を代表する科学技術の象徴の一つであった。それゆえに現代抱えている科学技術の問題のほとんどが事故の状況に象徴的に現れてくる。放射性物質を含んだ海水の漏洩問題が3年経った今でも現在の新聞報道の内容になっているのは、水俣病の反省を技術者がしていない、と言われても仕方がない状況である。

 

さすがに最近では,東電の技術者が発言し問題となった「あれだけの事故が起きても、まだ死者は出ていない」というたぐいの発言は無くなった。しかし、事故後の状況を見る限り福島原発の事故を未だに反省していない技術者や経営者がいることも確かである。一生懸命やっている、という人がいるかもしれないが、一生懸命やって当たり前で、さらに何も問題が起きないのが当たり前なのである。またこれを経営者は理解しているので海水への漏洩問題を先送りにしてきたのである。東電の対応に「どうせ」という言葉が見え隠れする。

 

福島原発の事故について人災であるにもかかわらず未だ責任が明確にされていない。福島原発について人災か天災か不明、という人がいるかもしれないが、原発の安全確保、事故=0という機能が必達であるとするならば、その技術が未完成のまま運転していたことになるので天災ではない。また女川原発では、福島原発同様に津波に襲われたにもかかわらず、大事故に至らず停止している。この2つを比べるだけでも天災とは言えない。

 

大きなところでは、防波堤の改修を見送った事実がある。防波堤の改修を行っていたとしても全電源喪失という事態になっていたかもしれないので人災では無い、というのは見苦しい言い訳である。一部センサーの電源が外されたままになっていて運転状況が不明だったとか、外部電源車が間に合ったがコネクターが合わなかったために使えなかったとか、明らかに要所要所に人災の痕跡が残っている。

 

センサーの電源にしろ、外部電源用コネクターの問題にしろ、安全確保の機能の一つで有り、それをパーフェクトに維持するというのは原発の重要な技術のはずである。これらをパーフェクトに維持するための科学的方法を考えてもだめで、非科学的ではあるが、全てを書き出して対応策を立てなければ防げないのである。そもそも津波を発生確率でとらえ、確率が低いから津波対策をしなくとも良い、という科学的判断が大事故を招くことを福島原発は証明した。非科学的ではあるが、泥臭くあらゆる可能性を考えて事故=0を目指す機能を実現する技術こそ重要である。弊社の問題解決法ではこの考え方を取り込んだツールを用意している。

 

カテゴリー : 一般

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