2013.08/22 科学と技術(30)
パーコレーションの理論的解析によると、次元によらず無限のクラスターの生成する確率(閾値)が存在する。そしてその確率は次元が高くなると小さくなる。やっかいなのは、どの次元でもサイトで考えた場合とボンドで考えた場合でその確率が異なることだ。
パーコレーションの閾値手前(仮にA領域)と閾値付近(B領域)、閾値を過ぎた確率(C領域)で物性が最も安定なのは、C領域でその次はA領域である。B領域ではばらつきが最も大きく、この領域で微粒子分散系の材料設計をしてはならない。
好ましい材料設計方法は、目的とする複合材料の導電性の1/100から1/1000程度導電性がある異方性の大きい微粒子をC領域の体積分率で添加する方針である。ただし、この設計方針では微粒子が凝集する問題を考えていない。微粒子が凝集する場合にはn次元のパーコレーションが参考になる。
例えば、1Ωcmの微粒子を絶縁体高分子に分散して半導体領域の抵抗を自由に作り出すにはどうしたらよいか。
この問題は、微粒子を凝集体として分散すればよく、凝集状態の見かけの比重を真比重の1%から60%程度まで変化させて分散する。微粒子表面の性質にもよるが、10の4乗Ωcmから10Ωcm前後まで凝集粒子の体積固有抵抗を制御することができる。この凝集粒子をC領域あるいはA領域の体積分率で絶縁材料に分散すれば、10の9乗Ωcmから10の5乗Ωcmまで安定に抵抗を制御できる。
しかし、あくまでもこれは計算上のことで実際にこれを行おうとすると、高分子中に微粒子を分散し制御する技が必要になってくる。ただ、特許をみると偶然この技が使われている場合があるから面白い。
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