2013.09/22 電気粘性流体とゴム5
電気粘性流体の增粘の問題は、第三者から見たらいい加減な実験で解決策が得られたことになる。さらにすでに市販の界面活性剤を検討し、結論を出した後だったので立腹された人もいたようだ。問題は解決されたのだが後味の悪い結末だった。何でも科学的に問題解決できる、と信じているとこのような状況でパニックになる人もいるようだ。
科学は真理を追究するのがその使命であり、機能を実現することを使命とする技術とは異なる。科学は哲学であり、ある一つの思想に過ぎない。19世紀以降科学の発展により技術開発のスピードは飛躍的に向上したが、17世紀以前にも技術は存在した。道具を使い始めた段階に技術は生まれたのである。科学は技術開発のスピードを早める役目を果たしたが、「ものづくり」は人間の営みの一部、技術が行ってきたことである。技術とは機能を実現しようとする行為そのものである。
すなわち試行錯誤は人類が昔から行ってきた技術の歴史に裏付けられた由緒正しき技術的方法である。試行錯誤でも頭を使う。この方法で大切なことは体中を動員し、汗をかいたときにすばらしい結果が得られることが多いことだ。セレンディピティーとして特殊な能力のように表現されているが、誰でもコツを体得すればできることなのだ。17世紀以前に人類が行ってきた実績がそれを裏付けている。科学は、それを効率良くできるようにする思想を示したに過ぎない。
ゆえに科学的に解明されていない、あるいは科学的に解明しようとすると膨大な時間がかかる場合には、いさぎよく試行錯誤で技術を創り、結果を出し、結果に対して科学的考察を与えた方が効率的だ。科学を否定しているわけではない。科学は思想に過ぎないのでその活用が重要でモノを創るのは技術である。社会生活でも一つの思想にこだわっていると問題解決できなくなるように科学的という思想にこだわると問題解決できないケースがあるのだ。「やってしまった方が早い」というKKD信奉者が胸をはるシーンも多い。
有名な事例としてヤマナカファクターの発見がある。ノーベル賞級の大発見は非科学的方法で生まれている。大量の遺伝子を一つの細胞に組み込んだり、その遺伝子から宝くじよろしく消去法的に4つのヤマナカファクターを見いだしているのである。ヤマナカファクター発見では一瞬科学的思考を捨てた点をよく学ぶべきである。繰り返すが科学を否定しているわけではない。科学的ということにこだわると解決できない、あるいは解決スピードが遅くなる問題があることを指摘している。
17世紀以前の技術は技術者も職人も区別なく技術を創り出してきた。現代はヤマナカファクター発見のように科学を活用しながらスピードアップしながら創造する行為を行う技術者が技術開発の中心である。タグチメソッドが技術開発のツールの一つとして普及したが、これは職人も含め誰でも技術開発ができるようになるからである。弊社の問題解決法も機能実現を容易にできるように独自ツールとメソッドを提供している。
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