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2013.10/09 第54回電池討論会

今週月曜日から水曜日まで大阪で表題の討論会が開催されている。昨日時間を調整できたので参加した。このような討論会の良いところは技術のトレンドを瞬時に把握できる点である。

 

例えばLiイオン二次電池の負極に数年前から注目が集まっていたが、Sn系はもう時代遅れで、Si系も技術開発のピークになって最終完成系ができているのでは、と思われる雰囲気であった。

 

Si系負極を採用した電池については昨年既に上市されたが、まだ理論容量に到達していない。実験室では到達していても実用系ではまだまだ問題がある。その問題解決につながるかもしれない、興味深い発表がJFEテクノリサーチからあった。

 

金属SiにLiイオンが拡散する時に<101>面から選択的に入り合金を形成するそうだ。貴重な分析データが公開されたが、このデータを見るだけでも新幹線代は高くない、と思わせる内容だった。

 

金属Siをそのまま負極に用いることができないのは充放電で大きな体積変化が生じる為で、Liと合金化すると負極がダメージを受ける。ただ一度膨張した後収縮はせずそのまま充放電ができる点が少し不思議だったが、発表内容からその現象を理解でき、新しいSi系負極のアイデアが浮かんだ。

 

Liイオン二次電池はブリヂストンから発売されたポリアニリン正極の二次電池が最初だが、登場してから30年以上経ち性能は著しく向上した。時期尚早と思われていたが飛行機にも実用化された。そしてGSユアサの技術力もあり、万が一電池が壊れても火災の原因にならないことを証明した。

 

これはNAS電池の事故後の事件でもあり、あの程度で収まったことは驚くべきことである。恐らくLi二次電池の負極開発競争はあと2-3年で終了し、電池の部材のコストダウン競争が始まるものと思われる。

 

昨年電池材料を開発している友人から面白いジョークを聞いた。海外で学会がある時に電極材料メーカーの社員はエコノミークラスに搭乗するが、電解質メーカーはビジネスクラスに乗っている、という話である。

 

電池討論会を聞いているとLi二次電池の液体電解質についてはもう企業の技術開発が完了している印象を受けた。今Li二次電池のホットな話題は、電解質を固体にした全固体Liイオン二次電池に移っている。

カテゴリー : 学会講習会情報

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