活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2013.10/14 混練のノウハウ(1)

ゴムはバンバリーとロールで混練を行う。この混練というプロセシングについて、その分野の参考書には、装置の説明はあるが、その作業の方法が詳しく書かれていない。ゴムに限らず他の材料の混練に関する記述は主に装置に関する説明ばかりである。しかし、ゴムや樹脂などの高分子を混練するときに装置以外で材料物性に関わる因子が多く経験知が無いと材料開発が難しくなるのが混練技術である。

 

すなわち装置を購入し特許の実施例をそのまま実施しても再現できない場合が多いのが混練プロセスといえる。そもそも高分子材料の物性は、プロセシングの影響を受ける、ということが教科書にも書かれていないことが問題だ。高分子は大別すると、ゴムと樹脂、そしてその中間のTPE(熱可塑性エラストマー)に分かれるが、ゴム物性は最も混練プロセスの影響を大きく受ける。

 

ゴムの混練プロセスは、ゴムの種類により様々である。まずこのことがよく理解されていない。バンバリーとロールを用いて加硫ゴムを混練するのだが、バンバリーとロールの組み合わせプロセスは無限に存在する。しかし、多くの教科書には最初にバンバリーで混練してその後ロール混練を行う、という記述程度しか書かれていない。これは多くの加硫ゴムの混練プロセスの一例である。

 

そもそも最初にバンバリープロセスが行われることが常識になっているが、ロール混練が最初に行われ、その後バンバリー、ロール混練と実施される場合もある。あるいは、バンバリーを用いずにロール混練だけでゴムを練り上げる場合が存在する。同一配合でそれぞれのプロセスで混練を行うと、混練して加硫されたゴム物性は皆異なる。どのプロセスが選択されるかは、加硫ゴムの配合により異なる。そしてゴムの配合とプロセスの組み立ては経験的に決められる。

 

プロセスの組み立ては経験知でノウハウの塊である。ゴム会社の指導社員は大変優秀な研究者であると同時に職人技も持っていた。ゴム材料の開発はまず職人の技を盗まなくては始まらない、というのが指導社員の口癖であった。ゆえに最初の1ケ月は毎日座学と実験室の繰り返しであった。おかげで職人技まで獲得するには至っていないが、経験知を充分に学ぶことができた。プロセスの組み立ては最初に決めなければならないが、加硫ゴムの物性により見直す必要がある重要項目、というのは大切なノウハウである。

カテゴリー : 一般 高分子

pagetop