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2013.10/15 混練のノウハウ(2)

バンバリーの使用方法にもノウハウがある。バンバリーはゴムを投入して5分から10分程度混練するだけの操作、と思っている人が多い。投入順序や混練する組成、投入量の容積比などの加硫ゴムの物性を左右する因子は多い。また、バンバリーで加硫ゴムの最終組成を混練しない場合もある。すなわち一部の添加物をバンバリーで添加せずロール混練で行う、というケースである。

 

また、バンバリー投入前にロールでゴムを素練りする場合もある。バンバリーの使用方法に制限は無い。但しバンバリーのロータは剪断力が大きいので長時間の使用はゴムの分子量低下を引き起こす。そのため長時間の混練は通常行われないが、ある樹脂について投入量を少なめにして30分ほどバンバリーで混練したところ、分子量低下は起きず二軸混練機では得られない効果が出た経験がある(注)。

 

このようなバンバリーの特殊な使用方法と混練物に与える効果のデータはあまり公開されていない。これは余談だが、樹脂の混練にバンバリーを使用する例は教科書に書かれていない。しかし二軸混練機で期待したような樹脂の混練物が得られない場合にはバンバリーを試してみると良い。バンバリーはゴム専用の混練機ではなく樹脂も混練することができ、二軸混練機では達成できないレベルの混練物が得られる場合がある。最近はバンバリーの性能を出せる連続運転可能なニーダーも開発されているので特殊な性能が要求される樹脂の混練でバンバリーを検討する価値はある。

 

バンバリーはバッチ操作なのでコストに与える影響も大きい。しかし加硫ゴムにおいてこのプロセスは物性に影響を与えるのでコスト重視のプロセシングになっていない場合がある。しかしバンバリーを匠に使用し加硫ゴムの物性を創り込んだ場合にこの効果は後工程のロール混練で隠れてしまう。このため加硫ゴムのリバースエンジニアリングを難しくする。

 

さらに加硫ゴムの混練ではバンバリーを使用せず、すべてロール混練で行う事もできるのでバンバリーのプロセスはさらにブラックボックス化される。但しバンバリー混練の効率はロール混練よりも高いので、ノンプロ練りでバンバリーを使用しないケースは稀である。加硫ゴムのリバースエンジニアリングで配合組成が分かっても物性を再現できない場合には組成物の添加順序を検討してみると良い。そこからノンプロ練りにおけるバンバリーの使用方法がおおよそリベールできる場合がある。

 

バンバリー投入前のゴムの素練りについては、リバースエンジニアリングで解明できない。どのようなゴムでこの操作を行うのかについても詳しく書いた教科書は無い。このあたりの技術については経験知を持った技術者に指導を受けるのが賢明である。

 

(注)ある樹脂について特許を出願しているが、その特許にはバンバリー投入量と投入順序の詳細を実施例に書いていない。しかしバンバリーを使用しなければ達成できない高次構造を実現している。換言すればその樹脂組成の高次構造を見ればバンバリーの使用を特定できるのである。

カテゴリー : 一般 高分子

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