2013.10/21 ビッグデータ時代(1)
統計学がブームだという。書店には様々な統計学の本が並んでいる。さらにアマゾンの成功を例にしてビジネスの成功は統計学のおかげと表現され、統計学が今後重要な学問となる、と新聞にも書かれている。
統計学のブームは過去にもあった。1980年前後のマイコンが登場した頃である。マイコンが登場した頃、それを何に利用するのか話題になった。用途が決まっていない道具が登場したのである。面白いのはシーズ指向からニーズ指向の研究開発が叫ばれていた時代である。
マイクロソフトのBASICが走るマイコンはパソコンと呼ばれるようになり、統計計算のパッケージが多数販売された。単なる平均値や単相関のソフトウェアーだけでなく、多変量解析のソフトウェアーも販売された。しかし当時の64Kバイトのメモリー空間では扱えるデータ量に制約があり、やがてブームは下火になった。
当時高分子の難燃化技術を担当していたときに、MZ80Kを購入し重回帰分析のプログラムを開発した。MZ80KではシャープオリジナルBASICと、今ではゲームソフトで有名なハドソンのHu-BASICを使うことができた。Hu-BASICにはF-DOS上で動作するバージョンもあり、何とBASICコンパイラーまで走っていた。
8ビットのZ80というCPUには8MHzバージョンがあり、MZ80KのCPUを換装すると世界最速のパソコンになった。ソフトウェアーからフロッピーディスクのシステムまで揃えると軽自動車1台分以上の値段になったが多変量解析をやりたくて購入した。
ホウ酸エステルとリン酸エステルを併用したガラスを生成する難燃化システムでホウ素原子が統計的に有為に機能しているかどうか証明するために多変量解析を行おうと考えた。まだ高分子の難燃化技術の分野で多変量解析が使われていなかったので論文を書くことができた時代である。
リン酸エステルの難燃剤を多種類購入し、ホウ酸エステルと組み合わせた軟質ポリウレタンフォームを40種類以上合成した。この40種類以上のサンプルの燃焼試験結果を解析しホウ素とリン、ハロゲン原子の3成分をパラメーターとした重回帰式を求めた。
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