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2013.11/24 樹脂補強ゴムの耐久試験

アイドリング時と高速走行時の両者で振動吸収できるゴムを樹脂補強ゴムで30年以上前に開発した。この時勉強になったのは、同一配合であってもプロセスが異なると耐久試験の結果に大きな差が出る、という経験をしたことだ。この経験のおかげで高分子材料を配合処方だけでなくプロセス履歴も総合して眺める習慣がついた。

 

ゴムの耐久試験方法は幾つかあるが、スクリーニングの段階で行う評価法として繰り返し引張耐久試験法が用いられる。エンジンマウントの場合には圧縮永久歪みが耐久試験として重要だが、最初のスクリーニングは繰り返し引張耐久試験法を行うのが良い、と習った。

 

繰り返し引張耐久試験法は圧縮永久歪み試験よりも過酷である。しかし、スクリーニングで過酷な試験を行っておけば、商品化の段階で行われる品証評価でトラブルを防ぐことができると教えられた。また、過酷な試験法はエラーの検出感度が高い試験でもある。

 

この高い感度のおかげで、新入社員の1ケ月は何度もロール練りの工夫をすることになった。すなわち、レオロジー特性は良好でも耐久試験に通過しないサンプルばかり作っていた。その結果耐久試験とプロセスの関係が体に染みついた。

 

樹脂補強ゴムはTPEの仲間であるが、一般のTPEは二軸混練機で製造される。昔はコポリマーのTPEが多かったが最近はコストの安い動的加硫されたTPEが増えている。新入社員時代に開発した樹脂補強ゴムは二軸混練機で動的加硫して製造することも可能であるが、バンバリーとロール混練で製造された材料に比較すると極端に性能が悪い。

 

耐久試験は100倍異なり、圧縮永久歪も10倍以上異なる。同一処方でこれだけ圧倒的な物性の差を体験すると高分子材料におけるプロセシングとは何か、という問題意識を持たないほうがおかしい。バンバリーとロール混練のプロセスを用いた場合でも、ロール混練の技が未熟であると耐久試験で10倍、圧縮永久ひずみで4倍ほどの差が出る。

 

このテーマのあと高分子の難燃化技術開発を担当し、その難燃化技術で見出した高分子材料変性技術を用いた高純度SiCの開発をスタートするのだが、防振ゴムの開発で体験した高分子のプロセシングの効果は強烈な印象として残っている。セラミックスの開発に比較すれば短期間であったが、ロール混練に関しては職人並みの技を身に着けた。

ロール混練で悩まれている方はご相談ください。

カテゴリー : 高分子

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