2013.12/10 豚ダンゴと混練(2)
おから250gをボールに入れたら、まず料理用のヘラで押さえつけて、表面を平らにならす。この操作だけでも、卵-小麦粉-ニンニクの系はおからの中に分散する。これは、東工大扇沢教授の研究論文にも書かれている。すなわちブレンドしたポリマーをホットプレスすると分散が進行するのである。この現象は混練不十分なコンパウンドが、成形過程で品質問題を引き起こす原因を説明している。成形過程でも混練が進行するのである。だからコンパウンドの混練では成形過程でさらに混練が進行しないレベルまで混練する必要がある。
表面を平らにならし全体に十分に圧を加えたら、へらで5等分程度にしてボールの片側へブレンド物を寄せ集める。その後寄せ集められた塊のてっぺんからヘラで力を加えて、塊を崩しつつボールの中で再度平らな平面を作る。この操作を何度も繰り返すとおから-卵-小麦粉-ニンニクの系の混練が進み均一になる。かなりの高粘度であるがこのような操作にすると、それほどの力を加えなくとも混練を進めることができる。カオス混合もおおよそこのように効率的に混練を進めていると思われる。
おから-卵-小麦粉-ニンニクの系が均一になったら、この系の上に豚肉と豚の背脂をのせ、塩、コショー、味の素の順にふりかける。その後豚肉の系だけを軽くヘラで突っつきながら調味料を豚肉の中に分散させる。この操作だけでもできあがる豚ダンゴの味が変わるので面白い。すなわち混練操作では添加順序もできあがるコンパウンドの物性を支配している。タンブラーで配合物を固体分散し、そのまま混練しているコンパウンダーを見かけるが、それでは良い物性のコンパウンドができない処方があることを認識すべきである。
豚肉の中に調味料を分散できたら、ヘラで豚肉をボールの中で平らに引き延ばす。この時ボールの中は、おから-卵-小麦粉-ニンニクの系の層と豚肉-豚肉の背脂-調味料の層が分かれた状態になっている。この状態になっているところへ粗挽きコショーを振りかける。その後5分割しボールの片側へブレンド物を寄せ集める。その後寄せ集められた塊のてっぺんからヘラで力を加えて、塊を崩しつつボールの中で再度平らな平面を作る。この操作を何度も繰り返す。
この操作を行っているときに粗挽きコショーの粒が、次第に均一に分散されてゆく様子を観察することが出来る。ボールの片側に寄せ集め、押しつぶす、といった単純な操作の繰り返しだけでも混練が進むのである。全体が均一になったところでダンゴを作るのだが、ダンゴは直径1.5cmから2cm程度が食べやすい。この時十分に圧縮してダンゴを作ることがコツである。カチカチになるまで圧縮しても大丈夫である。鍋の中で柔らかくホクホクの状態になる。
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