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2014.01/09 高分子の難燃化のツボ

7日は七草がゆが朝食であった。今年は正月に餅を題材に高分子の難燃化を書き始めたので、昨日までだらだらと続けてきたが、来月高分子の難燃化技術の講演を技術情報協会から依頼されている(2月27日開催)ので、本日その予告も兼ねて考え方をまとめてみる。

 

高分子の難燃化は未だに科学技術として扱いにくい分野である。分析評価技術などを駆使して「科学的に」進めることは可能であるが、力学物性など他の品質項目を満たした材料に仕上げようとするとやはり経験が要求される。

 

来月行う講演では、この30年間の進歩も踏まえ難燃性評価技術の問題も論じたいと思っている。高分子の難燃化技術を担当した30年以上前の時代に比較し、少し進歩している。というよりも高分子の難燃化技術を担当したときは、LOIの評価法が登場したり、建築基準の大幅な見直しが行われたりと評価技術の過渡期であった。

 

現在でも時折実際の建物を一戸燃やしてデータを収集したりしているが、当時は毎年どこかで実火災の実験を行っていた。そして毎回見学に行った記憶がある。八百屋お七ではないが、実火災の実験ではお手伝いもさせられたので妙な緊張感を感じ今でも鮮明に記憶している。有機高分子は、実火災ですべて燃える運命にあるのである。

 

難燃剤は、その延命策でしかないと、技術の無力さと限界を思い知らされた。無機高分子ではどうか、という意見があるが、すでに当時無機高分子の研究も進めていたので、そのような意見を聞くと脱力感を感じた。セラミックス以外は800℃以上の高温度が発生する実火災で酸化されるのである。

 

高分子の難燃化のツボは、燃焼が制御不能の酸化反応であることを十分に理解することである。お焦げのできない餅は制御可能であるが、一度火がつき勢いが増し始めた火災に対して消化剤をかけない限り可燃物があると燃え続けるのである。また、分子設計されていないフェノール樹脂から生成した炭化物のように中途半端な炭化物は、実火災では可燃物となるのである。講演会では、このような大ツボを前提に勘所も含め小ツボの幾つかを解説する。

 

カテゴリー : 一般 連載 高分子

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