2014.03/18 iPS細胞とSTAP細胞の研究発表の差異
山中博士がノーベル賞を受賞されたときのNHKの特番で、ヤマナカファクター発見の裏側が詳細に紹介された。そしてヤマナカファクター発見の方法が、今回のSTAP細胞と同様に非科学的方法であったことも示されて世界中が驚いた。山中博士は、特許出願をしていたのでこれまで秘密にしていた、と語られていたが、本当か?
一方STAP細胞はその発見から論文発表まで、まるでドラマを見るがごとくすべて公開された。マウスのリンパから幹細胞を取り出す実験で、幹細胞を取り出しているのではなく創り出している事に気がついた小保方さんはSTAP細胞という概念に気がついた、とされている。しかし、最初は勘違い、として片付けられて誰も信じてくれなかった、泣いた日もあると。
今回は弱酸性の溶液に細胞をつけるだけで幹細胞ができる、ということを発見し、論文発表したが、論文のずさんさから論文取り下げ騒ぎになりその発見は「外部刺激により」リセットされた。さらに学位論文まで飛び火し、泣きたい状況を越えるところまで社会は彼女を追い込んでしまっている。学位論文の問題は査読を十分に行わなかった学位審査委員会の責任であるにも関わらず、である。
論文は2報発表されており、ハーバード大学の教授が書かれた論文がどのようになるのか注目したい。彼は現在でも取り下げを反対しており、一方ネイチャーは執筆者が反対していても雑誌側で取り下げ可能とも語っている。
この一連の流れから、STAP細胞は力学的刺激から幹細胞ができることが小保方さんにより最初に発見され、外部刺激で幹細胞ができる、という仮説を実証するためにいろいろな外部刺激が小保方さんにより試されて弱酸性という条件でできる事が見つかり、論文発表に至った、ということがわかる。
おそらく特許には幅広い条件が書かれていると思われるが、今回の騒動で特許の扱いも微妙に影響する。技術的には力学的刺激で幹細胞ができていたので特許は範囲にこだわらなければ成立するかもしれないが、クレームの範囲に関しては異義申し立てが世界中から来ることになるだろう。理研は特許戦略上まずい発表の仕方をした。
ところでiPS細胞は、いきなりヤマナカファクターありき、で発表され、細胞を初期化する技術の存在が科学的に証明された形で報告された。そのためどのようにヤマナカファクターを決めたのか議論となったが、特許が公開されるまで秘密にされた。正確には特許が公開されても秘密のままで、ノーベル賞を受賞してから公開された。
テレビの特番では大学院生の行った非科学的で大胆な実験がきっかけとなり、さらに実験を進める戦略も極めて技術的発想で非科学的に行われた。当方の邪推かもしれないが、科学者である山中博士には極めてインチキ臭い実験(注)に思えたので秘密にしていたが、ノーベル賞を受賞したので、その仕事に関わった人に報いるために恥ずかしさを承知で公開したのではないかと思っている。特番で紹介されたヤマナカファクター発見の裏側は山中先生の「先生」としての人柄が伝わる話に思える。
(注)科学が無い時代に人類が技術開発において行っていた方法でインチキではない。新しい技術を生み出す事が可能な強力なヒューマンプロセスによる問題解決法である。この議論は(www.miragiken.com)で現在展開中です。
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