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2014.05/25 STAP細胞の騒動に潜むデータ管理の問題

科学者が身につけるデータの扱いについて学生時代に学ぶ。理系であれば、学生実験の時に数字の丸め方から実験ノートへの記載の仕方まで1年生の段階で指導されるはずだ。大学4年になれば、卒業論文をまとめ該当する学会の論文誌に投稿する手順まで指導される。当方の学生時代はそうだった。

 

その過程で科学倫理も含め指導を受ける。すなわち実験から論文執筆に至る一連の作業を通じ、実験ノートの位置づけやデータ管理や処理の方法を学ぶ。学生実験では、他人のデータをもらい、考察まで真似をしていると、芋づる式に呼び出された。厳しい先生がいる、と噂になったが、必須単位なので先生も学生を落とすわけに行かないから、愛情から呼びつけて書き直しを命じている、と捉えれば優しい指導だと気がつく。

 

厳しかった先生の指導は、後から思出せば、皆我が身のために一生懸命になってくださっていた、と感謝したくなることばかりだ。シクラメンの香りを全合成するルートの研究を4年生の時に行ったが、日常の中間体の構造確認のために測定していたIRチャートを丸めて保管していて叱られた記憶が今でも残っている。

 

まだゴミ箱に捨てていなかっただけでも偉い、と妙な褒められ方をしたからである。H先輩には、ゴミ箱に捨てるのも面倒だったのだろう、と厳しい皮肉を言われたものだ。不要なチャートでも一連の研究をまとめ上げるまで全てのデータを整理して保管するのは、科学者の常識であることを学んだ。

 

ゴム会社の研究所では報告書も含めた研究管理状況等が少しずつ崩れてゆく体験をした。アメリカの大会社を買収し、業界6位から1位を目指すために、大リストラが始まったからだ。この嵐の中、転職するまでの六年間は、企画書の作成は行っていたが、研究結果の報告書の作成をした記憶は無い。特許は研究がまとまる前の技術が見えてくると半年に1件程度の割合で書いていた。

 

転職した写真会社では専用の実験ノートを会社が配布し、異動時にはすべて回収し管理する仕組みになっていた。各部署の倉庫には実験ノートを管理する棚が備えられていた。このシステムは10歳年上の管理職が退職後、知財の問題でこの会社を訴えてきたときに役だった。

 

当方の開発した技術も含め、すべて自分がアイデアを出して指導したから報奨金を払え、という図々しい訴えである。その管理職がアイデアを出した、という時期と技術が存在していた時期との差異を実験ノートに押された日付印や前後に書かれた日時からすべて証明することができた。実験ノートに日時の記載が重要な理由である。

カテゴリー : 一般

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