2014.06/14 自己責任の重要性
昨日のビッグニュースと同時にSTAP騒動に対して理研の改革委員会から発生・再生科学総合研究センター解体の提言が出された。カオス混合(7)は明日書くことにしてSTAP騒動の発生以来これまで関係者の発言を聞いていて釈然としない自己責任の重要性を述べてみたい。自己責任についてはドラッカーもリーダーの重要な資質である誠実で真摯な姿勢の表れとして著書でよく論じていた。
昨日の報道によると、改革委員会から、騒動の中心人物である研究ユニットリーダーのリケジョはじめ論文に関わった重要人物の責任が明確に出された。その結果としてセンター解体まで言及している。センターまで解体すべきかどうかはともかく、改革委員会が指摘した責任問題は国民の納得ゆく内容である。STAP細胞に用いたマウスが、そのDNAの解析からまったくインチキだったことまで明らかになりリケジョがどのような実験をしてどのようなことを企んでいたのか明らかになってきた。
本人も分かっているはずなので「生き別れの息子捜す」などと発言できる立場ではない。マスコミに向けられたこれまでの発言内容を聞く限りリケジョには自己責任の四文字が全く意識されていないように思われる。副センター長やセンター長も同じで、本来改革委員会から提言が出る前に自己責任の四文字がわかるような誠実な対応をしておればセンター解体までの表現が改革委員会から出されなかったはずである。
STAP騒動のような事件が起きたときに他人から言われる前にリーダーは自己責任から状況にあった行動を取るべきである。リーダーがそのような行動を取った時に本当に大切なものが守られるのである。
高純度SiCの事業化を住友金属工業とのJVとして立ち上げた時にFDを壊され研究開発の妨害をされる事件が起きた。騒がなければ良かったのだが静かにしていたらいかにも犯人の意思表示と思われる壊され方をされたので上司に告発したが、ゴム会社では事件を隠蔽するほうに動いた。
責任を取って自分のライフワークとまで考えていた仕事から身を引いた。タイヤ会社でうまく育つかどうかわからない出たばかりの事業の芽を守るためである。その結果30年以上その事業は続いている。自分が0から立ち上げた自負があっても誠実に対応しなければいけない状況では、組織人としての判断を優先すべきである。
ゴム会社の高純度SiCの事業には無機材質研究所の関係者やプロジェクトをスタートしたときの会社幹部の方々のご尽力や期待があり、個人のテーマ(注)ではなくなっていたのである。STAP細胞の騒動も同様で、このテーマはもうリケジョ一人の息子では無いのである。リケジョに限らず関係者は自己責任の四文字をよく考えた決断をして頂きたい。
(注)このテーマはゴム会社でCIが導入されたときにファインセラミックスと電池、メカトリニクスの3本の柱が新事業の方向という方針が出され、創業50周年記念論文に投稿するために企画されたテーマである。
(続編)
理研特別顧問が提言を受けて辞任するという。自己責任の観点から妥当な判断だが、その理由が「留まる理由は無い」とか「リケジョの採用過程は臨機応変に行った結果」とか言い訳がましい。後者は半分理解でき、同情する部分もあるが、本来一連の試験を行った上でリケジョを特別枠で採用すべきであった。
一連の試験をスキップして採用した結果、リケジョがどのような人物なのか不明のまま、その危険性に気がつかずに現職に就かせて今回の騒動が起きたことにまだ気がつかれていない。企業の研究管理をされた経験のある方ならば、今回のようなリケジョの扱いには慎重になる。
当方も経験があるが、頭は良いが重要な仕事を任せられない人がいる。訓練しても理解はできるが、その部分については全く欠如して責任感が身につかない人がいる。その様な人には本人にその旨を気付かせて問題が起きないような仕事の与え方をしなければいけない。そして本人が組織に貢献できる仕事を正しく選べるように指導しなければいけない。これは管理者として難しい仕事であるが責任をもってその人材を指導してゆくのが職責である。特別顧問はそれを怠ったのである。月10万円という報酬からの責任ではない。職務の責任である。報酬が高いか安いかはこの場合無関係である。税金で運営されている組織であることも考えて頂きたい。
カテゴリー : 一般
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